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2019/05/27 【文化財小話】重要文化財(建造物)と防火対策

 平成31年4月15日にフランス・パリのノートルダム大聖堂で大規模な火災が発生しました。その様子はテレビでも繰り返し放映されたため、目にされた方もいらっしゃるでしょう。

 関係する皆様には、謹んでお見舞いを申し上げます。

 日本では、現存する世界最古の木造建造物である法隆寺金堂の火災・壁画焼損が文化財保護法制定のきっかけになったように、重要文化財(建造物)の防火対策は、文化財保護活動のなかでも重要な位置を占めてきました。
 これは、日本の重要文化財(建造物)の多くが、植物質の素材を使用し、火災に対して弱いこと、火災の規模によっては建物のオリジナルな部材が完全に失われてしまい、復旧が難しくなることとも関係しています。

 日本で重要文化財(建造物)への防災設備の設置が広まったのは、昭和30年代後半以降です。昭和41年(1966)の消防法施行令の改正により、重要文化財(建造物)への自動火災報知機の設置が原則、義務づけられたことが大きな要因です。
 現在では、法律(消防法)によって義務づけられた機器以外に加え、各建物の性質や周辺環境に合わせ、消火栓や放水銃などを組み合わせて火災に備えるようになっています。ただし、消火設備の設置や維持管理には費用がかさみます。そこで、これらの費用に対し、国が補助金を出す仕組みも整えられています。

 設備の充実に加え、人々の文化財愛護や防火への意識を高めようと、関係機関や文化財所有者、地域住民等が連携・協力して、毎年1月26日の「文化財防火デー」に合わせて文化財防火運動を展開しています。昭和30年に「文化財防火デー」が制定されて以来、毎年途切れることなく、多くの重要文化財(建造物)等を舞台に防火訓練などが行われています。

 なお、昭和25年(1950)の文化財保護法制定以来約70年間の間に起きた重要文化財(建造物)の火災件数は86件です。火災原因をみると、最も多いのが放火で22件です。これ以外では、周辺で行われたたき火等の火の粉などによる飛火(13件)、火の不始末(9件)や花火による類焼(9件)などが原因の上位に入っています。

 放火は論外として、花火の燃え移りや火の不始末による火災は、人々の防火意識が高ければ防げたかもしれません。火災予防には、防火設備の充実といったハード面の整備に加え、人々の文化財愛護・防火意識を高めることが重要です。

 ノートルダム大聖堂での出来事を「対岸の火事」と考えず、火災予防の充実に努めていきたいと思います。(ι)



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