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文化財要録コンテンツ

名称関連文化財名称井上山経塚出土品
要録名称

井上山経塚出土品

 銅経筒 

 紙本墨書法華経 

 白磁壺形合子蓋 

 銅銭 

指定関連指定区分・種類有形文化財(考古資料)
指定年月日平成1年10月24日
所在地関連所在地

毛利博物館寄託

(防府市多々良1丁目15-1)

所有者関連所有者

文化財詳細
制作等の年代又は時代
平安時代後期

製作者
不明

由来及び沿革

 井上山は、防府市役所の南側に位置する標高約55mの独立丘陵である。早くから採石・採土が行われ、これまでに弥生時代の集落跡である井上山遺跡と保延6年(1140)書写の法華経や経筒が発見された日輪寺経塚が明らかになっている。現在山頂部は造成工事のため平坦に削平されている。

 本出土品は、昭和62年5月14日、周辺住民により偶然発見されたものである。

 同年5月18日から、防府市教育委員会により、発見地の発掘調査が実施され、経塚の構造が明らかにされている。



品質及び形状

(1)銅経筒

 総高 34.3cm

  筒身高 23.0cm

  同口径 8.3cm

  同厚 0.2cm

  蓋高 12.3cm(蓋2.9cm、鈕9.4cm)

  同口径 8.9cm

  同厚 0.2cm

 銅鋳製。宝塔形鈕を持つ甲盛の被せ蓋と同筒形の筒身からなる経筒である。筒身内部に紙本墨書法華経八巻が納められていた。(別添資料2参照)。

 蓋は高さ2.9cmで、天井部をたがねにより削りゆるい段を二周めぐらしている。宝塔形鈕は、相輪部と塔身部をそれぞれ蓋とは別に鋳造している。塔身部分の高さは3.1cm、平面プランは一辺3.1cmの正方形であるが、四隅を削ぎ落としているため八角形に見える。塔身は四方を削り落とし、四つの扉が開かれた形を見せている(中空の四柱状)。笠は一辺3.2cmの方形のものが単層であり、笠の上には笠の対角線方向にやや外反する細長い受花をそれぞれ1枚鋳付けており、その中に別鋳の相輪部を差し込んでいる。相輪部の高さは4.8cmで、九輪を簡略化し五輪を配し、宝珠に当たる部分は4枚の花びらが蕾んだ形をしており、中空となっている。

 筒身は円筒形で平底、一鋳造である。筒身側面に3行9文字分とその反対側の側面に一行3文字分の線刻による銘が認められる(別添資料2)が、錆のため判読困難である。筒身外面に白味をおびた緑色の錆が出ており、全体の色調は暗青銅色を呈している。また、内面は緑青色の錆に厚く覆われている。

 なお、銘文中に見える「物部氏」は、おそらく願主とおもわれるが、従来県内所在の物部姓の所見資料の主なものに次のものがある。

 ・寛喜元年(1229) 利生山永福寺跡石塔婆

 ・天福元年(1233) 日置八幡宮棟札

 ・永仁3年(1295) 竜泉寺跡自然石塔婆

 ・嘉暦2年(1327) 竜王神社文書

(2)紙本墨書法華経

 筒身内部に、淡黄色の薄手の料紙(楮紙)を接ぎ継ぎにし、妙法蓮華経を書写した経巻が8巻納められていた。発見時、8巻の経巻は同紙質の包紙で包まれていたが、筒身内部の湿気により、経巻の上部が腐食・損傷していた(別添資料2)。

 残存する経巻の形状は別表のとおりである。料紙の天地幅は4~7cmほど残っているが、発見時は10~12cm程であったという。接ぎ継ぎした料紙の紙幅は、46~61cm位で一定していないが、各巻220~230cmばかりの長さと思われる。

 残存部分に残る文字は5~10字で、本来の長さから推すと、散文で17字詰に復元でき、古来からの原則に従って写経されたものと思われる。なお、界線は無い。

 書体は楷書であり、相当手慣れた筆である。経巻の後半に行くに従い字を相当詰めており、やや乱雑気味の文字となっている。書風は全体として共通しているが、中に右さがりの字体に特徴を持つものが3巻ほど認められる。あるいは、写経が複数の手になる可能性もある。

 願文や奥書は見出されていない。

(3)白磁壺形合子蓋

  径3.0cm、高さ1.1cmを計る。蓋の天井部全面に施釉している。釉薬はやや青味をおびた透明釉、胎土には淡茶褐色でざっくりとした土を使用している。

(4)銅銭

 元宝通宝(初鋳1078年)である。全体に白味を帯びた錆に覆われており、保存状況は悪い。径2.7cm、重さ2.7g。




地図



画像
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