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文化財要録コンテンツ

名称関連文化財名称松巖院庭園
要録名称松巖院庭園
指定関連指定区分・種類名勝
指定年月日平成7年12月19日
所在地関連所在地岩国市藤生町5丁目504番地
所有者関連所有者宗教法人 松巖院


文化財詳細
由来及び沿革

(1)松巖院の沿革

 松巖院は、瀬戸内海と安芸諸島・防予初冬を望む標高約100mの山麓斜面に位置する。

 古くは真言宗の寺院卜院であったが、慶長年間、吉川家重臣二宮俊実が安芸西禅寺の真如周伯を開山とし理事院とした。元禄15年(1702)に松巖院となり、鐘秀山と号する。江戸時代には臨済宗、現在は単立の寺院である。

 享保年間(1716~36)に再建された本堂の南側に松巖院があり、天保15年(1844)の棟札が遺る。天保2年(1831)に当地の境致を詠んだ香川琴山の書や、風景の佳と泉石の美の大正を述べた安政6年(1859)今北洪川の「松涛軒記」(絹本墨書・現状額装、岩国市指定有形文化財)が掲げられていた。

(2)庭園の作者と作庭時期

 「松涛軒記」には、松巖院庭園の作者と作庭時期に関する記録がある。

 作者については、松巖院前住で当時82歳の翁であると記されている。翁とは、由宇村中谷家出身の月渓のことで、2年後の文久元年(1861)に84歳で世を去った。作庭に関しては強い意欲があったらしく、松巖院庭園の他にも旧海土路村庄屋の村重家庭園など周辺若干箇所での作庭が伝承されている。

 作庭年次について明記はないが、翁の履歴について「在院四十年」、退隠後「復歴十有余年」とあり、「松涛軒記」に安政6年(1859)の年記があるので、19世紀前半の月渓在院中に作庭されたことがわかる。また、月渓は作庭後に隠居所松涛軒を構えたと「松涛軒記」に文言があることと、松涛軒屋根裏棟札の天保15年(1844)銘から、作庭時期は天保15年以前と推察される。



構造及び形式

(1)概要

 庭園は、山門付近から本堂東面にかけての、瀬戸内海の眺望をとりこんだ平庭式枯山水庭園と、本堂南側の隠寮松涛軒の南面に広がり、裏山斜面を利用し、築山をとりまくように池泉を穿ち、滝石組を中心とする池泉観賞式庭園との2庭からなり、後者を中心とする。

 安政2年(1855)に描かれた今北洪川「松涛軒記」に、作者と作庭時期に関する記事があり、19世紀前半(文化~天保年間)に住職であった月渓自らの作庭であることが記されている。

 庭園史研究の現状では、作庭年代や作者を知り得る庭園は少なく、その記録をともなう場合は、その時代・その地域の基準となる。

(2)庭園構成と様式手法

 山門付近から本堂前にかけて、スギゴケが一面に敷きつめられ、その中にソテツの寄植えをした平岩式枯山水庭園がある。低い土塀越しに視界が開け、瀬戸内海が眼下に見下ろせる(土塀の高さが約1.1m)。

 本堂南側には隠寮松涛軒が建つ。一種の隠居所であるが、茶室でもある。この南面に本庭の中心景観が広がる。裏山の斜面を利用し、築山を取り巻くように細長い竜池式の池泉を穿った池泉観賞式の庭園である。

 庭園構成の中心は滝石組である。松涛軒二階からはやや斜めに眺めることができるが、一階の主室からは視界に入らない。庭に降り池畔に立って、はじめて主景を望むことになる。地形的な影響などから、池泉観賞式としては特殊な平面構成(地割)であり、回遊式庭園の要素を多分に活用している。

 滝石組は、3石で水落石を形成して120cmの高さがある。斜面に露出する岩盤を利用して添石を構成している。右手には90cm高の立石があって、石組の中心となっている。滝には背景の山地より湧出する水が流れ落ち、蛇行しながら、池泉へと注がれる。築山上部には観音堂がある。

 池泉は竜池式で、常時水が流れ、護岸石組も優れている。4か所に石橋が架かり、園内を回遊散策できる構成になっている。




地図



画像
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