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文化財要録コンテンツ

名称関連文化財名称紙本墨画淡彩乗福寺伽藍図
要録名称紙本墨画淡彩乗福寺伽藍図 
指定関連指定区分・種類有形文化財(歴史資料)
指定年月日平成9年12月12日
所在地関連所在地山口市大内御堀301番地
所有者関連所有者宗教法人 乗福寺


文化財詳細
制作等の年代又は時代

 乗福寺は、正和元年(1312)に大内重弘が建立したが、永正末年(1520)頃、火災により伽藍のほとんどを焼失したと伝えられ、その後、大内義隆の再建で、享禄4年(1531)に法堂が落成し、山門供養が行われた歴史をもっている。

 従って、この伽藍図は、乗福寺の創建時か再建時に描かれた可能性が高いといえるが、法堂が描かれていないことと、描かれている伽藍が唐様建築の手法であり、室町時代後期に大内氏が再建した氷上山興福寺の釈迦堂(現在は龍福寺の本堂・重要文化財)が和様であることなどから推測して、大内義隆再建時の伽藍ではなく、創建当初の伽藍を描いたものと考えられる。

 さらには、康永4年(1345)、足利氏は乗福寺の塔をもって、周防国の利生塔に当てたとされるが、乗福寺伽藍図には塔が描かれていないことから、それ以前の伽藍図である可能性もある。

 ただし、図中の衆寮・方丈・薬師堂は、筆致から見て、後からの書き入れである。



製作者
不明

由来及び沿革

 乗福寺は臨済宗南禅寺派の寺院で、山号は南明山、本堂は聖観音である。

 寺伝によると、正和元年(1312)、大内重弘が建立し、南禅寺の鏡空浄心が住持となり、重弘の没後は、その菩提寺となった。その後、建武元年(1334)には、後醍醐天皇の綸旨によって勅願寺となり、同5年(1338)、諸山に列せられ、さらに、十刹に上っている。

 鏡空が周防国に初めて臨済宗の法幢を立ててから臨済宗派が広まり、乗福寺は「国初禅林」と称され、隆盛をきわめたが、永正末年(1520)頃、火災で伽藍のほとんどを焼失した。

 その後、大内義隆が堂宇を再建し、享禄4年(1531)に法堂が落成し、山門供養を行っているが、大内氏滅亡以後は著しく衰退し、江戸時代初期、毛利輝元が乗福寺の寺号を塔頭の正寿院に移したことから、大内氏や毛利氏の古文書や伽藍図などがここに伝えられた。

 とくに、乗福寺伽藍図は、安永2年(1773)の「吉敷郡山口才判御堀村由来書 乗福寺」(『防長寺社由来』第3巻所収)に「一、乗福寺伽藍図 一幅」と記され、江戸時代末期の「山口才判 五 風土注進案 御堀村」(『防長風土注進案』第12巻所収)にも「一、七堂伽藍の時古図 一幅」と書き出されていることから、その伝来が確認できる。

 なお、乗福寺の当初の境内地は、現在の乗福寺境内地の東北に位置して、整然とした敷地であったという。現在は住宅地にも造成されており、旧観をとどめていない。伽藍図の右下に描き込まれたと思われる池も埋め立てられ、消滅している。



品質及び形状

紙本墨画淡彩 1幅 (樹木や建物の一部に、わずかに緑や朱の色彩が認められる)

本紙 縦213センチメートル 横84センチメートル(縦5枚×横3枚、合計15枚の接合)

図様 乗福寺の境内を正面から北に見た図で、前景に樹木、背景に山林を描き、中央部に諸堂宇を俯瞰的に配している。視点は南方にあるが、方丈の視点だけは東方にある。周辺の景観は絵画的、中央の伽藍配置は絵図的、伽藍建築は設計図的な特徴をもっている。

 伽藍配置 南面して、中心線上に四脚門・三門・仏殿を置き、三門の前方に東司と浴室、両横に経蔵と鐘楼、仏殿の前方に僧堂と庫院、背後に祖師堂と土地堂を、それぞれ左右対称に配置し、三門から左右に延びた回廊が、経蔵と鐘楼を結び、北上して僧堂と庫院をつなぎ、仏殿に到達している。法堂を欠くが、禅宗寺院に備わる諸堂宇がそろい、左右対称を基本とする禅宗様伽藍配置の典型的なものになっている。後筆による衆寮・方丈・薬師堂は回廊の外に位置し、対称的な配置にはなっていない。

建築様式 三門と仏殿を中心にして、対称的に配置された諸堂宇には、禅宗様式の手法である詰組・弓欄間・桟唐戸・花頭窓が見られ、さらには、柱下の礎盤にまで、禅宗様式(唐様)が徹底している。




地図



画像
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