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文化財の概要

文化財名称

妙徳寺山古墳出土品

文化財名称(よみがな)

みょうとくじやまこふんしゅつどひん

市町

山陽小野田市

指定


区分

有形文化財

時代

古墳時代

一般向け説明

 山陽小野田市にある妙徳寺山古墳は、厚狭の盆地を見下ろす丘に築かれた全長約30mの前方後円墳である。県内30基の同型古墳の中で22~23番目にあたる。古墳時代中期(5世紀前半)に築かれたと考えられている。内部は石棺を伴う竪穴式石室が1基あり、石室は盗掘を受けていない。
 出土品には、鏡1面(面径8.5㎝ 。精巧な文様があり、絹布に包まれる)、勾玉 179点(めのう製2、ひすい製2、緑色凝灰岩製3、小型滑石製172)、 管玉59点(碧玉製、緑色凝灰岩製)、鉄刀子1点、鉄剣1点、高坏1点、壷1点がある。5世紀前半の在地首長の副葬品・供献品のセットを示す資料として貴重である。

小学生向け説明

 この古墳は、山陽小野田市の厚狭の町を見下ろす丘にあります。長さ30mの前方後円墳で、今から1500年前の古墳時代に築かれたものです。古墳からの出土品は次の通りです。
・鏡     1:直径8.5 、細かな模様があり、絹の布につつまれていました。
・まが玉   179:めのう2、ひすい2、緑色の石3、かっ石172 
・くだ玉  59 :きれいな石を加工した玉です。
・鉄 短 刀 1
・お供え用遺物:鉄剣1、高つき1、つぼ1
 この古墳は、石室・土器のつくりから北九州とつながりの深い人物の墓と考えられています。また、残存する人骨から葬られた人物は女性と推定されています。

文化財要録

要録名称

妙徳寺山古墳出土品
 捩文鏡              
 鉄刀子              
 瑪瑙製勾玉           
 翡翠製勾玉           
 緑色凝灰岩製丁字頭勾玉  
 小型滑石製勾玉        
 管玉                
 鉄剣              
 高坏        
 短頸壺       

指定区分・種類

有形文化財(考古資料)

指定年月日

平成12年12月15日 (山口県教育委員会告示第6号)

所在地

山陽小野田市大字鴨圧109番地
(山陽小野田市立厚狭図書館)

所有者

山陽小野田市

制作等の年代又は時代

古墳時代前半

由来及び沿革

 妙徳寺古墳は全長約30mの前方後円墳で、山陽小野田市大字郡地内の丘陵上に所在する。国道2号厚狭バイパス建設に先立つ分布調査により発見され、平成2年度発掘調査が実施された。発掘調査によって、未盗掘の主体部(石棺系竪穴式石室)より、捩文鏡、鉄刀子、勾玉、管玉、小型勾玉が出土し、周壕床面から鉄剣、墓道から土師器の高坏及び短頸壺が出土した。

品質及び形状

(1)捩文鏡
 面径8.5㎝、縁厚0.3㎝、鈕径1.3㎝、鈕高0.6㎝弱。
 青銅製ホウ製鏡。鏡面に反りをもつ凸面鏡である。全面を緑青に覆われており、鈕孔には、繊維を撚りあわせた鈕が遺存する。鏡面は中央部に布の痕跡がみられ、外周付近に鈕状の繊維が遺存する。鏡面には、部分的に赤色顔料の痕跡が認められる。鈕の周囲には細い界線が巡る。内区には4個の乳を置き、各乳間に捩文を配置する。捩文は左右対称の整美なもので、縦2本線に両側を挟まれた2列の珠文列両側に獣毛状の6本の平行弧線を配す。主文区の周囲には擬銘帯、櫛歯文帯、外区は鋸歯文帯周囲に圏線が巡り、鏡縁は平縁となる。

(2)鉄刀子
 全長6.0㎝、刃部幅1.0㎝、刃部背幅0.15㎝。
 鉄製。背は直線をなし、刃の先端から全長の約2/3付近に関があり、茎部に続く。
 
(3)瑪瑙製勾玉
 2、54の2点で、全長はそれぞれ4.3㎝、3.7㎝。
 瑪瑙製。色は濁黄白色で褐色の縞状部分がみられる。
 
(4)翡翠製勾玉
 5、46の2点で、全長はそれぞれ1.7㎝、1.8㎝。
 翡翠製。5は薄緑色で、器面の風化が進行している。46は器面が丁寧に研磨され、器面に光沢をもつ。

(5)緑色凝灰岩製丁字頭勾玉
 3、4,、55の3点で、全長はそれぞれ3.7㎝、3.4㎝、3.3㎝。
 緑色凝灰岩製。頭部に3は4本、4、55は3本の刻線をもつ。55は緑白色で、器面の風化が進行している。

(6)小型滑石製勾玉
 合計174点あり、内訳は完形品169点、破損品5点である。完形品は全長6㎜~9㎜。
 滑石製。色調は淡黄緑色、緑青色、黄緑色等である。頭部の大きさ、尾の長さは多様であるが、いずれも器面は丁寧に研磨し、頭部に径1㎜の穿孔を施している。

(7)碧玉及び緑色凝灰岩製管玉
 合計59点あり、内2点(6、56)は端部を欠損する。全長は0.7㎝~3.9㎝、直径は0.2㎝~1.0㎝。
 多くは碧玉製で、一部緑色凝灰岩製。色調は淡緑色または深緑色で、器面は丁寧に研磨される。一部の小型品を除き、両面穿孔である。38は、孔部に鉄片が付着している。

(8)鉄剣
 2片あり、剣身部片は残存長5.4㎝、剣身部から茎部片は残存長9.2㎝、剣身部の最大幅は、2.2㎝。
 鉄製。2片は直接接合しない。大部分が錆膨れに覆われている。剣身部の断面は薄い菱形をなし、基部にかけて両関となり、茎部に続く。
 
(9)高坏
 口径18.4㎝、器高18.0㎝。
 土器(土師器)。坏部はやや深く、下位で屈折して斜め外方に立ち上がり、口縁部は外反する。筒部は細く、下位で屈折して、裾部は大きく開く。外面及び坏部内面には、赤色顔料の痕跡がみられる。器面は風化が進行しているため、バインダ-処理されているが、脚部に数カ所の亀裂が入っている。

(10)短頸壺
 口径8.6㎝、器高10.9㎝。
 土器(土師器)。頸部はわずかに外傾気味に立ち上がり、口縁端部は細くなる。体部は丸味をもち、底部は丸底である。外面はハケ調整、内面はヘラケズリ調整を基調とする。

参考情報

・主体部が盗掘をうけていない数少ない古墳であり、副葬品及び供献品の配置及びセットの全容が把握された。
・残存する人骨片の鑑定結果から、被葬者は女性の可能性が高いことが指摘された。
・主体部は石棺系竪穴式石室であり、北部九州との強い結びつきが考えられる。
・西1.5㎞には典型的な畿内型前方後円墳である長光寺山古墳が所在し、同一地域での首長墳の変遷を知る手がかりとなった。
・古墳は、国道2号厚狭バイパス建設に伴い、平成11年度、隣接地に墳丘及び主体部が移築復元された。

地図

画像

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