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文化財の概要

文化財名称

姫島樹林

文化財名称(よみがな)

ひめしまじゅりん

市町

阿武町

指定


区分

記念物

一般向け説明

 姫島は阿武町宇田の西方約2kmに浮かぶ小島で、花こう岩でできている。大小ふたつの島からなり、大きい方が面積6ha、最高点の標高91.6mである。
 島の樹林は、海面からの高さで三つに分けられる。島の周辺部はオニヤブソテツ、ハマビワ群集で、ハマビワ、ヒサカキが多い。この上は地形が険しく、クロマツ林がよく発達する。最上部は標高40m以上で、ホソバカナワラビ、スダジイ群集が発達する。
 島の樹林の大部分は、森林の移り変わりの最終段階にあり、生育する植物は安定していて、暖地性植物が集中的に残っている。特に、ホルトノキ、サカキカズラ、ホウライカズラ、ハマヒサカキ、ハマビワ、ノシラン、ヒスゲゲ、ホソバワダンなどは、主に南方暖地に分布し、この地方では珍しい。
 下関の満珠樹林・干珠樹林や光の峨嵋山樹林にも劣ることなく、代表的原生林であるという萩の指月山など、国指定の樹林にも匹敵するものといわれる。

小学生向け説明

 姫島は阿武町の沖に浮かぶ小島です。島の林は、海面からの高さで三つに分けられます。海岸付近はオニヤブソテツ、ハマビワ、ヒサカキが多く、少し高いところは地形がけわしく、クロマツ林となっています。もっとも高いところは、ホソバカナワラビ、スダジイなどがしげっています。これらの木は暖かい地域に生育するもので、特に、ホルトノキ、サカキカズラ、ホウライカズラ、ハマヒサカキ、ハマビワ、ノシラン、ヒゲスゲ、ホソバワダンなどは、おもに南方暖地に分布し、この地方ではめずらしい植物です。

文化財要録

要録名称

姫島樹林

指定区分・種類

天然記念物

指定年月日

昭和56年(1981)12月11日(山口県教育委員会告示 第8号)

所在地

阿武郡阿武町大字宇田字姫島1291番地の1

所有者

宇田郷漁業協同組合

参考情報

 〔植生〕
(1)オニヤブソテツ ハマビワ群集
 島の周辺部は、九州南部および西海岸から島根県の日本海岸に分布する海岸風衝断崖のオニヤブソテツ―ハマビワ群集に属し、ハマビワ、ヒサカキが多く、シャリンバイ、トベラ、マサキ、マルバグミの低木、オニヤブソテツ、オニヤブマオ、ヒゲスゲ、ハマボッス、ホソバワダンなどの草木が観察される。
(2)クロマツ林
 (1)の上部は、地形急峻でクロマツ林がよく発達し、大径木が多く、低木層にトベラ、マサキ、ハマヒサカキ、マルバグミ、ネズミモチ、モッコクなど、草木層には、ヘクソカズラ、ツワブキ、アキノキリンソウ、マルバハギ、ハゼノキなどが見られる。
(3)ホソバカナワラビ スタジイ群集
 海抜40m前後から上部は、典型的なホソバカナワラビ―スタジイ群集が発達する。
 高木層は、スタジイが優占種であるが、クロガネモチ、ホルトノキ、モチノキなどの巨樹をまじえている。亜高木層、低木層ともこれらの幼齢、壮齢木が優先で、次代の高木層の後継要素が準備されているといえる。
 これらのほか、亜高木層および低木層には、ヤブニッケイ、マサキ、タブノキなども見られる。
 林床は、ホソバカナワラビがもっとも優勢で、テイカカズラ・ノシランなどが多い。
 林床群落を形成する藤本植物としては、テイカカズラ、チズタ、ホウライカズラ、サカキカズラ、ハマニンドウなどがあり、中には樹幹をはい上って高木層に達するものも多い。
〔分布上注目すべき植物〕
 所生の植物は、ほとんどすべて暖地性植物であるが、とくに、ホルトノキ、サカキカズラ、ホウライカズラ、ハマヒサカキ、ハマビワ、ノシラン、ヒスゲゲ、ホソバワダンなどは、南方暖地に分布の本拠をおくもので、この地方では珍しく、日本海側の北限に近いものである。

地図

画像

姫島樹林 関連画像001

姫島樹林 関連画像002