金銅誕生釈迦仏立像
こんどうたんじょうしゃかぶつりゅうぞう
防府市
県
有形文化財
平安時代
防府市国分寺の所蔵。銅造の誕生釈迦仏で、像高は18.2cm、台座を含む総高は25.3cm。鍍金がほどこされている。誕生釈迦仏は右手で天を指し、左手で地を示す釈尊降誕伝説を表現したものであるが、この像は左手で天を指し、右手を下げて地を示す逆手の誕生仏として極めて異色である。また他の誕生仏とくらべると、大ぶりで作域もすぐれ台座も当初の制作で精巧である。前後に垂れた短い裳や、台座の反花の先端が大きく立ち上がって茸状を呈するところなどに、統一新羅時代の特色がうかがわれ、9世紀の制作と考えられる。
この仏像は防府市国分寺にあります。
仏像の高さは18㎝、台座をふくめると25㎝あります。
800年代の朝鮮半島にあった新羅(しらぎ)という国でつくられたとおもわれます。
釈迦は生まれたらすぐに七歩あるき、右手で天を、左手で地をさし、「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」といった、という話にもとづいている仏像が誕生釈迦仏です。
しかし、この仏像は左手で天を、右手で地をさしていて、異色です。
金銅誕生釈迦仏立像
有形文化財(彫刻)
平成1年3月28日
防府市国分寺町2578の12
宗教法人 国分寺
9世紀頃(統一新羅時代)
【形状・品質・構造】
〔本体〕
頭部は前方にのみ段差をつけて肉髻を盛り上げ、前面の髪際から三段目までは螺髪をタガネ彫りして、強くあらわす。首のつけ根に三道を刻む。右手は体にそって垂下し、掌を前にして握り、第2指をのばして地上を差す。左手は頭上に振り上げ、耳の上部から頭にそって内側にまげ、頭上中央あたりで掌を前にして握り、第2指をのばして天井を指さす形だが、その指は欠失。上半身裸体で、腰に短裳をつけ、わずかに膝をまげ、足先を揃え足で蓮台上に立つ。
頭・体部を足まで含めて銅の蝋型による一鋳造とし、鍍金を施す。螺髪・目鼻立・裳の衣文など随所にタガネ仕上げの跡が認められる。左手の下膊上部に長さ0.35cmの亀裂が2段にできている。背面襟下に縦 5.2cm、横 2.5cmの長方形の埋金がある。鋳造時の穴をふさいだものと思われる。
〔台座〕
間弁付単弁八葉の蓮華座で、上から仰蓮・上敷茄子・反花・受座・格狭間透彫りの框座および八綾形の基台からなる。
仰蓮部と反花以下基台までとをそれぞれ別々に鋳造し、仰蓮部の下部を少しかしめて反花部に装着する。タガネで仕上げを行ない、鍍金を施す。
総高 25.3cm
〔本体〕
像総高(拳~足) 20.7 像高 18.2
髪際下 16.4 頂上~顎 4.1
面長 2.4 面幅 2.2
耳張り 3.1 面奥 2.5
胸厚 2.1 腹厚 2.5
腰張り 3.1 足先開き 2.8
足(左)高 0.9 足(右)前幅 0.5
〃奥行 0.5
〔台座〕
仰蓮径 5.1 仰蓮高 1.8
上敷茄子径 3.9 上敷茄子高 0.4
反花径(上) 7.0 反花径(下) 6.7
反花径高 2.0受座径 18.2
受座高 0.3~0.4 框座径 7.5
框座高 0.9 基台系 9.0
基台高 0.8
(1)誕生釈迦仏とは
釈迦牟尼(釈尊)が母后麻耶夫人の右脇腹から出胎降誕し、7歩歩んだのち、右手をもって天を指し、左手で地を示して「天上天下唯我独尊」と降誕宣言をするさまを表現したものといわれ、釈尊の誕生日といわれる4月8日の灌仏会(仏生会、花祭り)には灌仏盤の中央に安置され甘茶をそそがれる。
(2)伝来について
正徳4年(1714)12月「防州国分寺記録」(国分寺蔵)の什物部の中に「一、誕生釋迦如来 右長六寸一歩之事」と見えるのが本件に当ると考えられるが、当史料より遡るものは見当らない。
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