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文化財の概要

文化財名称

分銅形土製品

文化財名称(よみがな)

ふんどうがたどせいひん

市町

山口市

指定


区分

有形文化財

時代

弥生時代

一般向け説明

 この遺物は、熊毛郡田布施町にある明地遺跡から出土した。
 分銅形土製品は、天秤の錘(分銅)形の板状の土製品で、片面に人の顔面がある。
 弥生時代中期~後期に盛んに使用され、西日本を中心に約300の出土例がある護符か仮面として使用された祭の道具と推定される。出土状況は破壊され、顔面を伏せて埋納されていることに共通性がある。
 この遺物も、弥生時代中期(紀元前2~紀元前1世紀) の土坑(地面を掘りくぼめた穴)の底に裏向きで、二つに折れて埋納されておる。寸法は最大長21.8㎝、最大幅16.4㎝、最大厚3.1㎝をはかる。
 分銅形土製品としては、わが国最大の物であるうえ、原形をよく保ち、うるわしい顔の表現は弥生時代の造形物として高く評価できる。

小学生向け説明

 この遺物は、熊毛郡田布施町にある明地(みょうじ)遺跡から出ました。
 分銅形土製品は、重さをはかる「てんびん」のおもり(分銅)の形をした土器で、人の顔の面になっています。今から2100年~2000年前の弥生時代中ごろのものです。
 おそらく、このお面をつけた人は、祭の主役となって自然の恵みに感謝する踊りを踊ったことでしょう。祭の終りには、こわされて埋められています。お面の長さは21.8㎝、はばは16.4㎝、厚さは3.1㎝あります。弥生時代のお面としてはわが国最大です。 

文化財要録

要録名称

分銅形土製品
(明地遺跡出土の分銅形土製品) 

指定区分・種類

有形文化財(考古資料)

指定年月日

平成9年12月12日

所在地

山口市春日町3番22号
(山口県埋蔵文化財センター)

所有者

山口県

制作等の年代又は時代

弥生時代中期

由来及び沿革

 本資料は、平成5年度に熊毛郡田布施町の明地遺跡の土坑(SK22)から出土した。SK22は長径224cm、短径221cm、深さ34cmの不整な方形の土坑であり、断面は皿状を呈する。2つに折れた分銅形土製品は、この土坑の底面に接して、裏面を上に向けて並べ置かれた状態で出土した。土坑埋土中には土器片若干および別固体の分銅形土製品片1個が含まれていたが、いずれも本資料とは遊離した状態であった。埋土中の土器の示す年代は弥生時代中期後半である。

品質及び形状

(品質、形状)
 天秤の錘(分銅)状の平面形をもつ板状の土製品であり、片面の上半部には顔面表現がある。上半部下端には左右対称な位置に、おのおの2孔が貫通する。上半部と下半部の間のくびれた部分が最も厚く、この部分で2つに折れている。弥生土器と同様の胎土・焼成であり、灰橙色を呈する。最大長21.8cm、最大幅16.4cm、最大厚3.1cm、重量870gである。
 顔面表現は、細い粘土紐を貼りつけて表現した眉および鼻と、弧状の断面をもつ工具の刺突によって表現された目および口から成る。眉の端部は側面におよび、鼻孔は刺突によって表現する。額部分には丁寧なナデがみられるが、頭髪等の表現はない。裏面には全体に粗いナデがみられる。

参考情報

○分銅形土製品について
 (1)分銅形土製品は弥生時代中期から後期にかけて盛行する遺物であり、近畿から北部九州にかけての瀬戸内海沿岸部を中心として分布する。現在までに約300個が発見されているが、その7割以上は吉備地域に集中している。分銅形土製品は各戸または数戸単位の祭祀具と考えられており、護符あるいは仮面としての使用が推定されている。
 (2)山口県に分布する分銅形土製品は角ばった状態であり、外形が円形に近い吉備のタイプとは明瞭に区別できる。分銅形土製品には顔面表現のみられるものが比較的多いが、粘土紐を貼り付けて眉と鼻を立体的に表現するものは周防・伊予に集中して分布する。
 (3)分銅形土製品は小破片となって集落遺跡から出土するのが通例である。その際、破片が接合(割れ口が一致)する例や、破片となった分銅形土製品が特別に扱われた例はみられない。
 (4)明地遺跡の分銅形土製品の出土状況は、破壊されていること、顔を伏せて埋納されていることなど、『綾羅木郷台地遺跡出土の人面土製品(平成3年県指定)』との共通性がみられる。
 (5)人面表現のみられる弥生時代遺物は例が少ないうえに、出土した遺構が明確で、原形を保つ遺物は希少である。

地図

画像

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