木造獅子狛犬
もくぞうししこまいぬ
山口市
県
有形文化財
室町時代
山口市の平清水八幡宮の本殿前に安置されている。たてがみをあらわし、前肢を立てて蹲踞(そんきょ)する阿形の獅子と、頭頂に角一つを持つ吽形の狛犬との1対の木造彫刻である。ともにヒノキ材の一木造りで、彫眼、内ぐりは無い。像高は獅子が74.3cm、狛犬が72.2cm。緑青や朱の彩色が認められるが、後補かと思われる。各像底に応安6年(1373)の制作時期や「大工僧道隨」という制作者などを示す墨書銘が認められる。本県に残る獅子狛犬で紀年銘のあるものでは最古級である。また作域もしっかりしている。
山口市の平清水八幡宮にあります。
口をあけているのが阿形(あぎょう)の獅子で、角(つの)をもち口を閉じているのが吽形(うんぎょう)の狛犬です。
像高は獅子が74.3cm、狛犬が72.2cm。
1373年につくられました。
木造獅子狛犬
有形文化財(彫刻)
平成12年3月31日
山口市吉田2244
宗教法人 平清水八幡宮
応安6年(1373)
大工僧道随
本件に関わる古い記録は、『防長風土注進案』(19世紀半ば成立)を最初とし、平井庄・吉田郷・恒富保の冊の平清水八幡宮の宝物の項に「随身 獅子 高麗狗」と見える。このほか本件にまつわる資料は見いだせない。
平清水八幡宮は、大同4年(809)宇佐八幡宮より勧請と伝える古社で、徳治3年(1308)の藤井光永譲り状が伝存するほか、現本殿(3間社流造、桁行6㍍余、梁間5㍍余)は、室町時代中期にまで溯るものと考えられており、重要文化財の指定を受けている。また、本件の近くに安置される随身像一対には、応永23年(1416)に彩色をした旨の墨書があり、山口市指定文化財になっている。
(1)形状
○獅子(阿形) 顔をやや左に向ける。開口、歯牙と舌を表す。耳を寝かせる。鬣を表し、前肢を立てて蹲踞する。
○狛犬(吽形) 顔をやや右に向ける。閉口、歯牙をむく。頭頂に角1本を表し、耳を立てる。鬣を表し、前肢を立てて蹲踞する。
(2)品質・構造
各檜材、一木造り、白下地彩色、彫眼。
○獅子 頭部から尾まで含み全体を統一材から彫出する。唇の上線に植毛のための穴をうがつ。像表面には白下地に、鬣と各肢の毛及び尾を緑青、その他の体部をベンガラで塗る。
○狛犬 構造は獅子に準じるが、右後肢の材木の節穴にあたる部分毛一束を別材で作り矧ぐ。体部を褐色に塗る。腹部はベンガラ塗り。その他の構造は獅子に準じる。
(3)法量 *単位はcm
像高 全長 頂~顎 面幅 肩張 胴張 前肢開(外)
獅子 74.3 52.0 22.0 16.6 27.4 28.8 27.4
狛犬 72.2 50.0 23.6 15.5 24.5 29.1 25.1
(角含む) (角含む) (現状)
(4)銘記
両者とも像底に以下のような墨書銘があり、制作当初のものと認められる。
(獅子の墨書・像底中央部)
「応安六年癸丑九月五日、願主日祭貞恒、大工僧道随」
(狛犬の墨書・像底縁部)
「応□□□癸丑九月五日」「物部氏□虎女」 *虎は異体字、物部氏の次は「安」の可能性がある。
(5)保存状態
○獅子 左前肢と後肢のそれぞれに地付き部側面の節、左側頭部の節及び唇上縁の植毛は欠失。上顎部が縦に割れ、現在鉄釘で止められる。これは後世の割れと考えられ、必ずしも当初の割矧ぎとは認められない。表面の彩色は後補。
○狛犬 右前肢先の外側は欠失。右耳側面部の割れを現在鉄釘で止める。左後肢先が割損し、矧ぎ目が離れる。胴体右方に干割れがある。表面の彩色は後補。
昭和40年(1965)3月20日付けで山口市指定文化財、指定名称は「木造狛犬」で、員数は2躯。
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