妙徳寺山一号経塚出土品
みょうとくじやまいちごうきょううづかしゅつどひん
山陽小野田市
県
有形文化財
平安時代
妙徳寺山経塚は、山陽小野田市の厚狭盆地を見下ろす丘の頂上(標高60m) にある。近くに前方後円墳の妙徳寺古墳もある。
埋納品には、白磁四耳壷1個、青白磁合子6合、鏡2面(湖水鏡1・草花双雀鏡1)、銅銭片1(輸入銭「元国通宝」か)などがある。本遺物は、平安時代後期(11~12世紀)に営まれた経塚と埋納品のセットで、しかも埋納時の様子をほぼ保った状態で出土した点で貴重である。
妙徳寺山経塚は、山陽小野田市の厚狭の町を見下ろす丘の頂上(標高60m) にあります。
経塚は、お経を写して筒にいれて地中に埋めて土をもりあげた所です。この経塚の近くには前方後円墳の妙徳寺古墳もあります。埋められた遺物は次の通りです。
・白磁(はくじ)つぼ1 :中国で作られた特注品で経筒(きょうづつ)として使われました。
・青白磁入れ物 6:ふたと身(み) のそろい6・身(み) だけ3
・鏡 2:湖水鏡1・草花双雀鏡1
・銅銭片 1:輸入銭「元国通宝」か
・鉄短刀 1
妙徳寺山一号経塚出土品
白磁四耳壺
白磁椀
白磁小椀破片
青白磁合子
青白磁合子身
湖州鏡
草花双雀鏡
銅銭残欠
鉄刀子
鞘金具残欠
褐釉四耳壺
有形文化財(考古資料)
平成3年12月10日
山陽小野田市立厚狭図書館
(山陽小野田市大字鴨之庄109)
山陽小野田市
平安時代後期
不明
妙徳寺山経塚は、山口県山陽小野田市大字郡地内にある標高約60mの丘陵頂上部に位置しており、一般国道2号(厚狭バイパス)の改築に先立つ分布調査によって発見され、平成2年度に発掘調査が実施された。本資料は、この調査により、2基の経塚のうちの1号経塚から出土したものである。
(別添実測図参照)
1)白磁四耳壺(2)
器高22.7㎝、口径10.4㎝。明緑灰色を呈す。卵形胴に直立した頚部がつづき、短く外反する口緑の端部は外側に折り曲げる。肩には2条の沈線が巡り、刻線を入れた横耳4個をつける。低部は部厚く、やや外開きの低い削り出し高台をもつ。器壁の内外面に厚く釉がかかり、外底部のみ無釉。1号経塚主体部の小土坑に埋納されていたもので、経筒として使用されたものとみられる。
2)白磁椀(1)
口径14㎝、器高4.3㎝。灰白色を呈す。低い高台をもつ底部から、体部は直線的に開き、口緑端がわずかに外反する。器面には、低部を除いて白釉が内外面ともに厚くかかる。経筒の白磁四耳壺の蓋として使用されていたものである。
3)白磁小椀(18)
口縁から体部にかけての破片。推定口径7.2㎝。青白色を呈す。器壁は薄い造りで、釉は口唇部を除いて内外面ともにかかる。
4)青白磁合子・青白磁合子身(3~17)
いずれも印籠式に合わさる平型合子。蓋身ともに側面菊座形を呈す。蓋の天井部には、花弁文・花文・小動物とみられる陽出文が配されている。
口径(㎝)/器高(㎝)/色調・文様等
3/蓋/6.6/1.6/浅黄色・花弁文
4/身/5.4/2.1/
5/蓋/6.8/1.8/青白色・花弁文
6/身/5.8/2.2/
7/蓋/7.3/2.1/浅黄色・小動物文
8/身/6.0/2.6/
9/蓋/4.9/1.5/浅黄色・花文
10/身/3.9/1.8/
11/蓋/5.1/1.6/黄緑色・花文
12/身/4.2/2.1/
13/蓋/5.3/1.7/青白色・花文
14/身/4.2/2.2/
15/身/3.8/1.8/青白色
16/身/4.4/1.6/青白色
17/身/4.2/2.4/青白色
5)湖州鏡(20)
素文六花鏡で、面径は最大径12.3㎝、最小径11.6㎝、鈕高5㎜。鏡背に銘区をもつが、銘については判読し難い。鏡面は銀色を呈しており、錫メッキの可能性もある。
6)草花双雀鏡(19)
面径8.7㎝、鈕高4㎜。鏡背文様は、菊座鈕を中心に、内区左右に双雀、上方に菊花を二花、下方に山吹の花を配し、山吹の葉を内区に散りばめる。1重の圏線が巡り、外区には、菊花を数花、山吹の花と葉を配す。縁は直角式中縁。鈕より1㎝外に径4㎜弱の鋳かけの痕跡が認められる。
7)銅銭(23)
全体の約半分を欠失している。推定径2.5㎝。「元口通宝」。欠字は「豊」か。
8)鉄刀子(21)
全長28.3㎝、身の長さ20.2㎝、身幅2.6㎝。両関造りで、茎は関から尻にかけてすぼまる。刀部先端に一部木質が銹着する。
9)鞘金具(22)
全体の約半分を欠失しているが、鉄刀の鞘金具と推定されるもので、内径は推定で長径4.3㎝、短径1.2㎝、断面方形を呈す。
10)褐釉四耳壺(24)
器高20.1㎝、口径9.9㎝。緑灰色を呈す。くの字形に短く外反する口縁をもつ長胴の壺で、肩に2条の平行沈線と1条の波状沈線を巡らし、横耳4個をつける。低部は低い高台。器壁は比較的薄い造りで、内外的に緑色釉がきわめて薄くかかり、外面には無造作に鉄釉を流している。経筒として使用されたものとみられ、1号経塚に追埋納されたものである。
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