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文化財の概要

文化財名称

田万川の柱状節理と水中自破砕溶岩

文化財名称(よみがな)

たまがわのちゅうじょうせつりとすいちゅうじはさいようがん

市町

萩市

指定


区分

記念物

一般向け説明

 旧田万川町の南部、上小川東分の農道脇にあり、約33万年前に噴出した黒っぽい火山岩の玄武岩が、礫(れき)層と砂層をおおっている。この玄武岩は田万川本流と原中川にはさまれた標高100~110mの平坦な溶岩台地をつくり、ほぼ南北に細長く連なる。
 平成3年(1991年)、田万川町上ノ原から田添に至る道路工事で、発見された美しい玄武岩柱状節理(割れ目が柱を束ねた状態に似る)と水中自破壊溶岩の露頭が発見された。
 この露頭では、地層の下層から、①基盤となる安山岩、②礫の層、③「水中自破砕溶岩」の層、④玄武岩の「柱状節理」の層が見られ、これは、柱状節理の形成過程の順をあらわしている。かつて、基盤となる安山岩を浸食して川が流れており、礫の層ができた。その川底に、火山活動による高温の玄武岩溶岩が流出し、水蒸気爆発を起こし、破砕して、水中自破砕溶岩の層を形成した。破砕片は川の流路を変え、この地域は乾陸化した。そこに、さらに溶岩が噴出し、乾陸上で冷却したため体積収縮によって、断面の径0.4~1.0mの六角形あるいは五角形の柱状の「柱状節理」が生成された。
  この地区で発見された玄武岩柱状節理と水中自破砕溶岩を含む露頭は、規模が大きく、特異な堆積、固結機構を示すとともに、過去の河川の堆積状況をきわめてよく保存している。

小学生向け説明

 平成3年(1991年)、田万川町の道路工事のために、山を崩しているときに美しい玄武岩(げんぶがん)の柱状節理が発見されました。柱状節理というのは、六角形あるいは五角形の柱を束ねたような割れ目ができていることです。さらに調べてみると玄武岩柱状節理の下には、大きさ5~30cmのよう岩破片の層が、さらにその下にはれきの層が、一番下には安山岩の層がありました。
 これらのことから、昔この地域で次のようなことがおこったと考えられます。
①昔、ここは安山岩でできていて、川が流れていました。
②川の水によって運ばれたれきの層が川底にできました。
③その川底に、火山活動によって地下から高温の溶岩が出てきて、水で急に冷やされて破砕し、溶岩破片の層ができました。
④溶岩によって川の流れが変わり陸地となったあとに、さらに溶岩が出てきて、空気中で冷やされ六角形あるいは五角形の柱状の割れ目ができました。
 このように、広い範囲で昔の変化がわかる場所はたいへんめずらしく、天然記念物に指定されました。

文化財要録

要録名称

田万川の柱状節理と水中自破砕溶岩
  (通称:龍鱗峡)

指定区分・種類

天然記念物(地質・鉱物)

指定年月日

平成10年4月14日

所在地

山口県萩市大字上小川東分字柳畠2238-1、山口県萩市大字上小川東分字柳畠2238-3、山口県萩市大字上小川東分字なめら2262-2、山口県萩市大字上小川東分字川平195-4、山口県萩市大字上小川東分字川平197、山口県萩市大字上小川東分字川平201-2、山口県萩市大字上小川東分字柳畠972-2 計8筆 5,248㎡ 

所有者

萩市

由来及び沿革

 萩市上ノ原の柱状節理と水中自破砕溶岩は、平成3年、田万川町上ノ原から田添へ至る農免道路建設中に偶然に発見されたものである。その特異な景観と構造並びに規模の大きさが注目を集め、田万川町教育委員会による緊急調査が実施された。現地調査は、当時山口県文化財保護審議会委員であった、別府大学教授村上充英氏(故人)による2回に亙る調査が実施され、平成3年10月と平成5年1月にそれぞれ報告書が提出された。この報告書に基づき、田万川町教育委員会は当該地区の公園整備を図り、露頭の学術的な価値を啓蒙するとともにその保護・保存に努めている。

参考情報

(1)他の法令による規制等
特になし。

地図

画像

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