聚分韻略(明応二年大内版)
しゅうぶんいんりゃく(めいおうにねんおおうちばん)
山口市
県
有形文化財
室町時代
『聚分韻略』は鎌倉末期の禅僧である虎関師錬(こかんしれん、1278~1346)の撰による作詩用の韻書で、漢字を平(ひょう)・上(じょう)・去(きょ)・入(にゅう)の四声113韻に分類した後、乾坤(けんこん)・時候・気形(きぎょう)など12門に意義分類したものである。15世紀後半に、平・上・去の各声同韻字を3段に重ね、入声は別に末尾に付した形式である「三重韻(さんじゅういん)」本が主流となり、江戸時代末期に至るまで、数十種の版本が存在する。
本件は、明応2年(1493年)に周防国内で開板されたもので、三重韻の形式としては、文明13年(1481年)の薩摩版(三重韻)に次いで古い。
なお、大内義隆の開板である『大内版三重韻』(天文8年(1539年)版、岩国徴古館蔵、県指定有形文化財)は、義隆が旧板に工夫を加え袖珍本(しゅうちんぼん)に改板したものであるが、この旧板こそが本件であると考えられる。
大内氏領国内では、応仁の乱以後、京都から公卿・禅僧・学者等が大内氏を頼って来住し、いわゆる大内文化が開花したことが良く知られており、この『聚分韻略』も含めた大内氏の開板事業は、「大内版」と総称されるほどである。
本件は、わが国出版文化史上、特筆に値する大内氏の開板事業の数少ない具体例の一つであるとともに、大内文化の遺産としても重要なものである。
『聚分韻略』は鎌倉時代末の禅僧である虎関師錬(こかんしれん)が編集した作詩用の字典で、漢字を音や意味によって分類したものです。15世紀後半に、3段に並べた「三重韻(さんじゅういん)」本が主流となり、江戸時代末期までに、数十種の版本があります。
1493年に周防国内で出版されたもので、三重韻の形式としては、1481年の薩摩版(三重韻)の次に古いものです。
なお、『大内版三重韻』(1539年版、岩国徴古館蔵、県指定有形文化財)は、大内義隆(よしたか)がこの『聚分韻略』に工夫を加え、持ち運びに便利な小型の本にして出版したものと考えられます。
大内氏が治めた国内では、応仁の乱以後、京都から身分の高い公家・禅僧・学者などが大内氏を頼ってやってきて、「大内文化」が開花しました。この『聚分韻略』も含めた大内氏の出版事業は、「大内版」と呼ばれます。
わが国の出版文化史上、特筆すべき大内氏の出版事業の、数少ない具体例の一つで、大内文化の遺産としても重要なものです。
聚分韻略(明応二年大内版)
有形文化財(典籍)
平成21年2月13日
山口市後河原150の1
山口県立山口図書館
山口県
明応2年(1493)
五冊
袋綴本、本文90丁、前表紙1葉、単辺(たんぺん)、有罫(ゆうけい)9行、楮(こうぞ)紙、柱刻(ちゅうこく)は魚尾(ぎょび)と丁数のみ。
なお、第一冊から第四冊まで朱筆による書き入れ、全冊にわたり墨筆による音訓仮名などの書き入れがある。
26.8㎝×19.5㎝ 匡郭(きょうかく)18.8㎝×14.0㎝
県立山口図書館が昭和27年(1952年)に広島の古書店から購入したもの。「伝雪(花押)」との書き入れ、「富田寺」の蔵書印があるが、伝来は不明。
明応二年大内版『聚分韻略』は、県立山口図書館の他、国立公文書館内閣文庫、国立国会図書館東洋文庫などに数本伝来しているが、県内では唯一の伝来である。
また、山口県指定文化財の天文8年版『大内版三重韻』の他にも、『香積寺三重韻』が存在したことが、『毛吹草』(松江重頼著、正保2年)、『大和事始』(貝原好古著、元禄10年)に見えるが、現存しない。
なお、大内版関係の文化財としては重要文化財「大内版法華経板木」59枚(山口県文書館蔵)がある。
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