山口県の文化財

指定文化財の検索

文化財の概要

文化財名称

(彫金)山本 晃

文化財名称(よみがな)

(ちょうきん)やまもと あきら

市町

光市

指定


区分

重要無形文化財

一般向け説明

 山本晃は、我が国の金工の装飾的特色の一つである多彩な色金(いろがね)を素材に用い、切嵌象嵌(きりばめぞうがん)と接合せ(はぎあわせ)によって細密な装飾文様を表現して、独自の作風を築いた。日本伝統工芸展等で受賞を重ねるなど高い評価を得ており、後進の指導・育成にも尽力している。
 昭和19年、山口県に生まれ、東京デザイナー学院工芸工業デザイン科を卒業後、ほぼ独学で彫金技法を学んだ。以来、切嵌象嵌と接合せを中心とする彫金の技法について研究を続け、活発な制作活動を展開しながら技を練磨し、高度に体得して今日に至る。
 切嵌象嵌は、金属板を装飾モチーフの形に切り抜き、そこに異なった色彩の金属板を嵌め込み、鑞付(ろうづけ)で固定する象嵌技法である。接合せとは、金属板を様々な形状に切り、鑞付けして絵柄や文様を作り出しながら、一枚の板、ひいては立体的な器形を造形していく技法である。我が国の金工の装飾的特色の一つである四分一(しぶいち)や赤銅(しゃくどう)などの色金の伝統的な配合について研究を深め、金属独特の重厚な色彩を豊かに生かした表現を得意としている。
 多彩な色金を駆使し、動植物や風景をモチーフにした細密にして華麗な切嵌象嵌・接合せによる装飾文様を器面に展開した現代的な作風によって、高い評価を得ている。

小学生向け説明

 山本晃さんは昭和19年、山口県に生まれ、ほぼ独学で彫金技法(ちょうきんぎほう。金属を彫ったり打ったりして、もようをつくりだす技法)を学びました。
 代表的な制作技法は、切嵌象嵌(きりばめぞうがん)と接合せ(はぎあわせ)です。
 切嵌象嵌は、金属板を装飾もようの形に切り抜き、そこに別の色の金属板をはめ込み、鑞(ろう。金属をつぎあわせるのに使う合金。ハンダなど)でくっつける技法です。
 接合せとは、金属板を様々な形に切り、鑞でくっつけて絵がらやもようをつくりながら、板や器の形を作り上げていく技法です。
 多彩な色金(いろがね。薬などを使って金属に独特の色をつけること)を思いのままに使いこなし、動植物や風景を題材にした、大変細やかで華麗なもようを表現した現代的な作風によって、高く評価されています。

文化財要録

要録名称

(彫金)山本 晃

指定区分・種類

重要無形文化財

指定年月日

平成26年10月23日

保持者

山本 晃

由来及び沿革

保持者の略歴
昭和44年 東京デザイナー学院工芸工業デザイン科卒業
同 55年 山口芸術短期大学非常勤講師(同61年まで)
同 60年 第32回日本伝統工芸展初入選
同 61年 山口芸術短期大学講師(平成9年まで)
同 62年 社団法人日本工芸会(現 公益社団法人日本工芸会)正会員(現在に至る)
同 年 第34回日本伝統工芸展NHK会長賞(優秀賞)
作品 接合匣「秋色」(せつごうはこ「あきいろ」)
同 63年 第18回伝統工芸日本金工展奨励賞
作品 水滴「春麗」(すいてき「しゅんれい」)
同 年 第35回日本伝統工芸展日本工芸会奨励賞
作品 重金箱「流麗」(かさねがねばこ「りゅうれい」)
平成 2年 第20回伝統工芸日本金工展香取賞(第20回展特別賞)
作品 象嵌花瓶「冬麗」(ぞうがんかびん「とうれい」)
同 8年 第43回日本伝統工芸展鑑査委員(以後2回歴任)
同 9年 第27回伝統工芸日本金工展文化庁長官賞(優秀賞)
作品 二段箱「草叢」(にだんばこ「くさむら」)
同 10年 第28回伝統工芸日本金工展朝日新聞社賞(優秀賞)
作品 接合せ花器「厳寒」(はぎあわせかき「げんかん」)
同 14年 山口県指定無形文化財(金工)保持者
同 16年 第33回伝統工芸日本金工展東京都教育委員会賞(優秀賞)
作品 切嵌象嵌接合せ箱「秋の譜」(きりばめぞうがんはぎあわせはこ「あきのふ」)
同 18年 第35回伝統工芸日本金工展東京都教育委員会賞(優秀賞)
作品 切嵌象嵌接合せ箱「夕照」(きりばめぞうがんはぎあわせはこ「せきしょう」)
同 25年 第60回日本伝統工芸展日本工芸会奨励賞
作品 切嵌象嵌接合せ箱「朝陽」(きりばめそうがんはぎあわせはこ「ちょうよう」)

参考情報

 「彫金」は、昭和53年4月26日に重要無形文化財に指定され、山本氏を保持者として「追加認定」するものである。

重要無形文化財「彫金」について
 彫金とは、各種の鏨(たがね)、金鎚(かなづち)、きさげ、糸鋸(いとのこ)等を用いて、金工品の素地を彫り刻んだり、透かしたり、異種の素材を嵌はめこんだりして加飾する仕事をいう。その内容には、毛彫(けぼり)、蹴彫(けりぼり)、片切彫(かたぎりほり)、 透彫(すかしぼり)等の彫りを中心とした技法のほか、多様な象嵌(ぞうがん)など、幅広い手法が含まれる。
 我が国の彫金技法は、中国大陸・朝鮮半島より伝播(でんぱ)し、古墳時代以降盛んになり、仏具や刀装金具(とうそうかなぐ)等の製作技法として高度に発達した。明治初期の廃刀令後は、造幣(ぞうへい)、装身具、置物、建築金具等の製作技法として活路を開いた。