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文化財の概要

文化財名称

木造四天王立像

文化財名称(よみがな)

もくぞうしてんのうりゅうぞう

市町

長門市

指定


区分

有形文化財

時代

鎌倉時代

一般向け説明

 長門市油谷向津具下にある二尊院に安置されている。四天王は持国天(じこくてん)・増長天(ぞうちょうてん)・広目天(こうもくてん)・多聞天(たもんてん)の4躯からなる。本尊(木造釈迦如来立像・木造阿弥陀如来立像、いずれも国指定重要文化財)の四方を守るように祀られている。像高は持国天58.7㎝、増長天54.8㎝、広目天56.5㎝、多聞天57.4㎝。すべてヒノキ材、寄木造(よせぎづくり)、玉眼(ぎょくがん)、彩色(後補)。多聞天の左足から見つかったと伝わる室町時代の修理願文から、弘安年間(1278~87)頃の作と考えられ、本尊の造立年代(文永3~5(1266~68)年)と大きく違わない。鎌倉時代初期に造立された東大寺大仏殿の四天王立像と、体勢・身色・持物などがほぼ一致する大仏殿様四天王像として、資料的価値が高い。

小学生向け説明

 長門市油谷向津具下の二尊院(にそんいん)にある仏像です。四天王(してんのう)は持国天(じこくてん)・増長天(ぞうちょうてん)・広目天(こうもくてん)・多聞天(たもんてん)の4体からなります。本尊(ほんぞん)の仏像2体(いずれも国指定重要文化財)の四方を守るようにまつられています。仏像の高さは持国天58.7㎝、増長天54.8㎝、広目天56.5㎝、多聞天57.4㎝です。多聞天の左足から見つかったと伝わる室町時代の文書から、弘安(こうあん)年間(1278~87)頃の作と考えられます。鎌倉時代初期に造立された奈良の東大寺大仏殿の四天王立像と、体勢などがほぼ一致しています。

文化財要録

要録名称

木造四天王立像

指定区分・種類

有形文化財(彫刻)

指定年月日

平成27年12月18日

所有者

宗教法人 二尊院

制作等の年代又は時代

鎌倉時代

員数

4躯

品質及び形状

○品質、構造
持国天
〈本体〉ヒノキ材。寄木造。玉眼。彩色。頭体幹部は両足先までを含んで両耳の後ろを通る線で前後2材を矧ぎ、内刳りを施し、割首する。膝の下で割足。左手は肩、手首、右手は肩、手首で矧ぐ。像表面は布貼り、錆地、現状白下地、彩色。肩喰、帯喰、覆輪などに金泥塗り。身色は緑青。眉、髭は墨。玉眼は目頭、目尻に朱。瞳は中から黒、白、黒。目の縁に朱。背に光背の柄受け用の金具を打つ。
〈邪鬼〉ヒノキ材。彫眼。彩色。頭体幹部は横1材、左前肢を矧ぐ。表面は漆塗り、白下地、彩色。
〈台座〉上の岩は1材製。白下地、彩色。下の岩は箱状に組んだ方座に朽ち木を寄せる。白下地、彩色。框、木製、漆箔。
〈光背〉木製、漆箔。火焔は銅板製。柄は黒漆塗り。
増長天
〈本体〉身色は朱。瞳は中から黒、緑、黒。その他構造、像表面は持国天分に準じる。
〈邪鬼〉構造、像表面は持国天分に準じる。
〈台座〉持国天分に準じる。
〈光背〉持国天分に準じる。
広目天
〈本体〉身色は白。瞳は中から黒、赤、黒。その他構造、像表面は持国天に準じる。
〈邪鬼〉持国天分に準じる。
〈台座〉上の岩と邪鬼の底を丸雇いホゾで繋ぐ。その他は持国天分に準じる。
〈光背〉持国天分に準じる。
多聞天
〈本体〉身色は青。瞳は中から黒、金、黒。その他構造、像表面は持国天に準じる。
〈邪鬼〉持国天分に準じる。
〈台座〉持国天分に準じる。
〈光背〉持国天分に準じる。
○形状
持国天
〈本体〉単髻。元結紐1条。髻の前に花弁形の飾りを付ける。髪は毛筋彫り。天冠台は無文。瞋目、開口する。歯、舌をあらわす。耳朶板状不貫。筒袖の衣、大袖の衣、鰭袖の衣、袴を着ける。肩甲、襟甲、表甲、胸甲、腰甲、前楯、籠手、脛当て、肩喰(獅子をあらわす)、帯喰(獅子をあらわす)、胸帯、腹帯を着ける。左手は全指を開いて腰に当て、右手は頭の横に振り上げ、全指を曲げて宝剣を執る。右足を踏み上げて邪鬼の頭を踏み、腰を左にひねって立つ。
〈邪鬼〉頭を向かって左にし、首を曲げ、右前肢は顎にあて、左前肢は伸ばす。両後肢を曲げて、伏臥する。右前肢は3本指、左前肢は4本指、左後肢は2本指か。
〈台座〉岩座2段。その下に框。
〈光背〉頭光、輪宝光。3ヶ所に火焔をあらわす。
増長天
〈本体〉帯喰をあらわさない。腰甲の上縁は雲形にあらわす。胸帯はベルトの形。肩喰(龍をあらわす)を付ける。左手は振り上げて全指を曲げ、宝剣を執る。右手は全指を伸ばして腰に当てる。左足を踏み上げて邪鬼の頭を踏み、腰を右に捻って立つ。その他は持国天にほぼ準じる。
〈邪鬼〉頭を向かって右にし、右前肢を曲げる。前肢は4本指、後肢は3本指。その他はほぼ持国天と左右対称にあらわす。
〈台座〉持国天分に準じる。
〈光背〉持国天分に準じる
広目天
〈本体〉瞋目、閉口する。肩喰、帯喰をあらわさない。左手は屈臂し、全指を曲げて経巻を執る。右手は腰の前で掌を前向きにし、第3~5指を曲げ、第1、2指はやや曲げ、筆を執る。邪鬼を踏み、腰を左に捻って立つ。その他は持国天にほぼ準じる。
〈邪鬼〉頭は向かって右にし、両前肢は曲げて岩につき、右後肢は曲げて踵を岩について伏臥する。前肢は5本指、後肢は4本指。
〈台座〉持国天分に準じる。
〈光背〉持国天分に準じる。
多聞天
〈本体〉帯喰をあらわさない。左手を屈臂し、全指を曲げて戟を執る。右手は屈臂し、掌を上に向け、全指を伸ばして宝塔を執る。邪鬼を踏み、腰を右に捻って立つ。その他は持国天にほぼ準じる。
〈邪鬼〉頭を向かって右にし、両前肢を曲げ、右後肢を曲げ、左後肢を蹴り上げて伏臥する。
〈台座〉持国天分に準じる。
〈光背〉持国天分に準じる。
○保存状態
持国天
〈本体〉宝冠、胸甲の肩紐、持物、表面仕上げ、各後補。〈邪鬼〉左前肢、後補。
増長天
〈本体〉右第1指亡失。持物、冠、肩紐、表面仕上げ、各後補。髻の矧目が緩み竹ひごで仮留めする。
広目天
〈本体〉宝冠、胸甲の肩紐、持物、表面仕上げ、各後補。背のホゾ受け金具亡失。〈邪鬼〉
邪鬼左前肢、表面仕上げ、各後補。
多聞天
〈本体〉宝冠、胸甲の肩紐、持物、右手首以下、表面仕上げ、各後補。左手首の矧目が緩み竹ひごで仮留めする。〈邪鬼〉左後肢の指、表面仕上げ、各後補。
 各像とも後補の彩色の剥落が進行中。各像の台座の岩座下半部以下、および光背は後補。

地図

画像

木造四天王立像 関連画像001

木造四天王立像 関連画像002

木造四天王立像 関連画像003

木造四天王立像 関連画像004

木造四天王立像 関連画像005