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文化財の概要

文化財名称

洞春寺観音堂

文化財名称(よみがな)

とうしゅんじかんのんどう

市町

山口市

指定


区分

重要文化財

時代

室町時代

一般向け説明

 山口市水の上町洞春寺の境内にある。桁行三間(7.97m)、梁間三間(7.51m)の一重裳階(もこし)付の建物で、入母屋造りで、もとはこけら葺きであったが現在銅板で葺いている。この堂は1430年(永享2)に大内持盛が開基となり山口市滝に建立した観音寺の本堂として建てられたものであり、観音寺は江戸時代に大通院となったが、幕末には衰退して本堂一宇だけが辛うじて残っていた。その後荒廃が甚だしくなったので、1915年(大正4)に現在地に移築された。建物の手法は禅宗様で、柱の上下に粽(ちまき)、窓が特殊な曲線をもつ華頭窓(かとうまど)、扉が桟唐戸、内部の床が土間など、従来の和様の寺とは違う手法が見られる。また下層の軒が板軒であること、上層の垂木が大まばら垂木であることなども特異である。内部の須弥壇(しゅみだん)および岩屋造りの厨子(ずし)も建物と同時代のものとされ貴重である。

小学生向け説明

 山口市の洞春寺の境内にあります。この堂はもと山口市滝にあり、室町時代の1430年に、大内持盛(おおうちもちもり)が建立した観音寺の本堂でした。観音寺は江戸時代末には衰退し、そののち荒廃がひどくなったので、1915年に洞春寺に移築されました。
屋根は、現在銅板で葺(ふ)いていますが、もとはこけら葺きでした。
建物の手法は禅宗様(ぜんしゅうよう)ですが、それまでの和様の寺とは違う手法が見られます。

文化財要録

要録名称

洞春寺観音堂  1棟
 附 伝厨子裏板1枚

指定区分・種類

重要文化財(建造物)

指定年月日

大正6年8月13日 (文部省告示 第137号) 特別保護建造物
昭和54年2月3日 追加指定

所在地

山口市水の上町5番27号

所有者

宗教法人 洞春寺

制作等の年代又は時代

室町時代(永享2年・1430年 厨子裏板銘)

員数

一棟

構造及び形式

 観音堂は厨子裏板銘及び由緒書の類によれば、永享2年(1430)大内持盛を開基とし、開山を竜岡玄珠とする観音寺の仏殿として創建されたとされ、寺地は山桁行三間、梁間三間、重層(一重裳階付)入母屋造、銅板葺(旧、柿葺)正面、側面中柱及び背面両隅柱は束立ち。
〔基礎〕 もこし側廻り及び仏壇側廻り並びに須彌壇框下総布切石敷、身舎柱礎石方形切石、雨落葛石自然石、雨落葛石内コンクリート叩き、所々自然石据え、内部土間四半敷瓦。
〔もこし側廻り軸部〕 総円柱、柱上下粽付、〔木製礎盤〕 地覆、腰貫、飛貫、〔頭貫〕 頭貫木端刳型付。
〔もこし正面〕 中央一間、方立、小脇羽目、両開棧唐戸藁座釣込、棧唐戸内側付敷居付鴨居引分け紙張格子戸。両脇間各地覆腰貫間嵌板竪張、腰貫飛貫間火燈窓、火燈窓框柱間及び腰貫飛貫間嵌板竪張、火燈窓内側敷居付鴨居引分け紙障子三間を通じ飛貫頭貫間嵌板横張。
〔もこし両側面〕 前端間、各地覆飛貫間方立、小脇羽目、両開棧唐戸藁座釣込第二間、各地覆腰貫間嵌板竪張、腰貫飛貫間火燈窓、火燈窓框柱間及び腰貫飛貫間嵌板竪張、火燈窓内側敷居付鴨居引分け紙張障子。第三間各地覆腰貫飛貫間嵌板竪張、三間を通じ各飛貫頭貫間嵌板横張。
〔もこし背面〕 中央一間、地覆腰貫間中央に片引板戸、その両脇嵌板竪張、腰貫飛貫嵌板竪張。両脇間、各脇仏壇を外方に張出す。各地覆腰貫嵌板竪張、腰貫飛貫柱間を開放とし、脇仏壇の開口とする。三間を通じ各飛貫頭貫間嵌板横張背面仏壇。柱面取り角柱、柱上下粽付、角型面取り木製礎盤、地覆、腰貫、頭貫台輪。頭貫台輪各木端刳型付。各両側面背面地覆腰貫頭貫間嵌板竪張、正面腰貫上床板張、台輪上天井板張。
〔もこし外回り斗キョウ〕 唐様平三斗、中備、四面共各中央間二所、両脇間一所。隅枠肘木捨斗、斗キョウ間各琵琶板横張。丸桁。
〔もこし軒〕 一軒、板軒、和様隅木化粧屋根裏板竪張。茅負、布裏甲。身舎正面両隅内陣柱。同背面もこし中柱筋に来迎柱、共に円柱、柱上下粽付、木製礎盤同背面両隅、各来迎柱より側方もこし頭貫上に繋虹梁を架し中央に隅太瓶束を立つ。
〔身舎正面及び両側面軸部〕 正面両内陣柱間及び側面内陣柱隅太瓶束間各虹梁頭貫、台輪。頭貫台輪各木端刳型付。各虹梁上平太瓶束二所。虹梁頭貫間総嵌板竪張。両隅内陣柱虹梁袖切下に各唐様二手先持送り挿肘木、隅太束虹梁袖切下及び両来迎柱繋虹梁袖切下に各唐様一手先持送挿肘木。
〔身舎背面側回り軸部〕 飛貫、頭貫、台輪。頭貫台輪木端刳型付。繋虹梁飛貫頭貫間嵌板横張。
〔身舎外回斗キョウ〕 唐様三斗組、枠肘木は外部拳鼻内部天井受け通り肘木受けの肘木となる。中備、正側面各中央間一所、背所二所、各両脇間なし。隅枠肘木捨斗、斗キョウ間琵琶板横張、通り実肘木、丸桁。
〔身舎軒〕 二軒、大疎捶、地捶端刳型付、地隅木端刳型付、飛檐隅木端屈折、雲形絵様付隅木蓋を冠す。化粧屋根裏板竪張。木負、茅負、布裏甲。
〔屋根〕 上下重共、二重軒付、大棟下品軒、銅板葺。
〔妻飾〕 台輪、出三斗、通り実肘木、指桁、虹梁、大瓶束、大斗、花肘木、通り実肘木、指棟、支外捶、破風、蒿懸魚、浪形鰭付、六葉葵形、妻及び支外軒裏嵌板張。登り布裏甲。
〔大棟〕 箱棟、鬼板共木造、但し大棟屋根板裏面以下及び鬼板前面を除く他総て銅板包。
〔内部〕 外陣化粧屋根裏、内陣鏡天井、来迎柱間飛貫下須彌壇上来迎壁、壁板竪張来迎壁周囲几帳面取り額縁、額縁黒漆塗、面朱漆塗。来迎壁前面に唐様須彌壇、須彌壇束間正面三間両側面各一間に格狭間板、格狭間内蓮立体彫刻。壇框生漆塗、面朱漆塗、格狭間板黒漆塗、格狭間内彫刻極彩色、同裏板胡粉塗。須彌壇上正側面共唐様角型逆蓮頭胡麻殻決り親柱付高欄、束上握り蓮、黒漆塗、面及び絵様彫込み部分朱漆塗。須彌壇上来迎壁に接して木製岩窟、岩窟彩色。岩窟内造付厨子、厨子正面一間、柱上下粽付円柱、木製礎盤。地覆、頭貫、台輪。頭貫台輪木端刳型付。唐様出組斗キョウ、中備二所、実肘木、丸桁、二軒、本繁捶、本瓦形板葺。正面上下左右入口框、框外方四方に梅椿透彫り彫刻入り欄間板(今下方彫刻欠)、藁座に唐様棧唐戸(上方綿板に元花狭間格子入)。厨子柱朱漆塗、扉及入口框屋根黒漆塗、面朱漆塗、欄間裏板及び扉上方綿板金箔押、軒回り丹塗、他は悉く極彩色、各琵琶板中央に銅製飾り金具各一個宛。

地図

画像

洞春寺観音堂 関連画像001

洞春寺観音堂 関連画像002

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