清水寺観音堂
せいすいじかんのんどう
山口市
県
有形文化財
室町時代
清水寺は山口市宮野下にある古寺である。観音堂は本尊を安置する建物で、桁行13.18m、梁間9.39m、屋根は一重、寄棟造り、茅葺であったものを現在鉄板で覆っている。向拝は後に付加されたもので、瓦葺きである。軸部及び側廻りの柱は円柱状で、正面入口中央の板扉は亡失、その双方には華頭窓及び障子がある。多陣天井は化粧屋根裏、組物は出組の結組。内陣は竿椽天井、正面に禅宗様式の仏壇をおく。形式は全般に禅宗様式の建物といえる。寺伝によると平安時代初期の創建で、はじめ天台宗であったが、大内政弘の時代に真言宗に転じたという。大内氏・毛利氏はともに本寺の保護に意を用いた。現在の観音堂は大内盛見の造建と伝えるが、細部の様式から室町時代後期頃のものとされる。1710年に毛利吉元、1762年に毛利重就、1791年に毛利治親によって修理されたことが棟札によってわかる。
清水寺は山口市に古くからある寺です。この観音堂は、本尊が置かれてある建物です。屋根は、いま鉄板で覆われています。建物の形式は、禅宗(ぜんしゅう)様式です。大内盛見(おおうちもりみ)が建てたといわれていますが、細部の様式から、すこしあとの室町時代後期ごろとおもわれます。
清水寺は、平安時代につくられたといわれています。大内氏や毛利氏は、長年にわたり、この寺の保護をしてきました。
清水寺観音堂 1棟
有形文化財(建造物)
昭和42年1月17日(山口県教育委員会告示 第1号)
山口市宮野下第1127番
宗教法人 清水寺
室町時代末期
一棟
方位南面、桁行五間、梁間四間、屋根一重、寄棟造り、鉄板で覆う(旧茅葺)向拝(瓦葺)付、切板椽、基礎自然石の上に木製礎盤付き、内外陣ともに床下土間盛土、軸部及び側廻すべて円柱、正面入口中央の板戸亡失、双方に華頭窓及び紙障子引違い、両側面前方1間のみ紙障子引違い。
〔外陣〕 化粧屋根裏繋虹梁、組物出組詰組、床拭板張。
〔内陣〕 竿椽天井、組物出組詰組、床畳敷き。正面に禅宗様式の仏壇をおく。形式は禅宗様式の手法の建物といえる。
〔規模〕
建坪 132.2㎡、桁行(柱真々)13.18m、梁間々(柱間々)9.39m
向拝の出 2.82m、表軒出(椽柱真より茅負外角まで)1.82m
裏軒出(椽柱真より茅負外角まで)1.82m、内陣床高0.91m
桁高(桁上端まで)6.39m、棟高(棟木上端まで)9.70m
清水寺観音堂は、大内氏時代の建立といわれているが、細部の様式、ことに組物や木鼻をみると、室町時代末期と認めることができる。ことに木鼻の渦文様をみると、文亀3年(1503)建立の今八幡宮楼門のものとかなりよく似ている。
しかしながら、その手法はわずかながら疎雑でやや年代の降ることを思わせる。
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