絹本著色維摩居士像
けんぽんちゃくしょくゆいまこじぞう
山口市
国
重要文化財
鎌倉時代
山口市水の上町洞春寺所蔵である。掛幅装で、縦156.1cm、横105.2cm。
維摩は「維摩経」の中に出てくる説話中の人物で、仏陀が在世時に中部印度の町にいた長者である。在家の仏弟子で菩薩大乗の修行をして、家庭や仕事の実生活の中にも仏教をよく透徹させ、在家仏教の理想的体現者として見られている。仏教の隆盛と共にその像もしばしば描かれている。
本作には、維摩が立て膝をし、左手に払子をもって左肘を脇息に置いた姿が描かれている。描線は流麗自在で大作である。筆者は不明。中国元代の著名な画家顔輝の作と伝えられているが確証はない。しかし、ほぼ元代から明代はじめ頃の作と考えられる。顔輝は元代の画人で、字は秋月、道釈人物をよく描いた。
なお、洞春寺は毛利元就の菩提寺である。
山口市の洞春寺にあります。寸法は、たて156cm、横105cmです。立て膝をついた維摩(ゆいま)という人物の姿が描かれています。維摩はインドの長者で、仏陀(ぶつだ)の弟子として、出家せずに家庭や仕事の実生活の中で修行した、在家(ざいけ)仏教の理想的体現者として知られています。
この像は、顔輝が描いたのではないかと考えられています。顔輝は、1300年前後の中国が元とよばれていた時代の人です。
絹本著色維摩居士像
重要文化財(絵画)
明治37年2月18日 (内務省告示 第10号) 国宝(旧)
昭和25年8月29日 文化財保護法施行により重要文化財
山口市水の上町
(大阪市立美術館承認出品)
宗教法人 洞春寺
一幅
絹本著色 (画絹三幅一鋪)、掛幅装
縦156.1cm、横105.2cm
この図は維摩が左手に払子を執り、立て膝をして脇側によれる姿を描いたものであるが、描線闊達自在で頗る大作をなしている。
筆者は不明。元代顔輝の筆と伝えられているが、その証明はない。しかし、大体元代乃至明初の頃の作と見てよい傑作である。
維摩は維摩詰の略称で梵語ではVimalakirtiという。「維摩経」に中に出てくる説話中の人物で仏陀が在世の当時に中部印度にあった摩伽陀国の北部、毘耶離という町にいた長者である。在家の仏弟子で菩薩大乗の行業を修し、出家沙門以上に仏教の神髄に悟入して家庭産業等の実生活の中にも高遠な仏道を融合透徹せしめ、在家仏教の理想的体現者として目せられている。
顔輝については詳細な伝は明らかでなく、図絵宝鑑元代画人の部に「顔輝、字は秋月、江山の人である。よく道釈人物を画く」とあり、画鬼に長じ、筆法奇絶、八面生意ありといわれている。顔輝筆と称するものは、我が国にも少なからず伝存しているが、その最も名高いものは京都知恩寺蔵の蝦蟇鉄拐二仙人の図である。
洞春寺は元亀3年(1572)の春、毛利元就の菩提寺として安芸国吉田の城内に創建された。開山は嘯岳鼎虎禅師、山号を正宗山と称する。
関が原の役後、慶長8年(1603)毛利氏に従い山口に移り、香積寺の堂塔を賜った。ついで慶長11年(1606)萩城内に移り、さらに明治2年(1869)明治維新に際し山口の国清寺旧跡に移り、今日に至っている。
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