絹本著色春冬山水図 戴文進筆
けんぽんちゃくしょくしゅんとうさんすいず たいぶんしんひつ
萩市
国
重要文化財
室町時代
萩市呉服町の菊屋家所蔵である。掛幅装で寸法は各縦144.5cm、横79.1cm。明の画家戴文進の画で春と冬の景色2幅がある。春の図は、中央下部に土坡、左には橋上に人物3人、右下方に土坡と松の大木3本、その下に亭と人物、梅樹を点ずる。その上方に岩の主峯があり、その背後に遠山数箇がある。冬の図は、左下方に土坡が二つ見え、上に樹叢がある。右下にろばに乗った人物などがあり、中央にひくい孤峯がある。その向うに家が2棟、上方には高い山が立っている。左方に雪を思わせる遠山がある。両幅とも彩式のしっかりした絵である。
作者戴文進は、中国明代初期の画家で、浙江省の出身。明の画院に登用されるところ、故郷に帰り、いわゆる浙派の始祖となった。山水を描いては明代第一といわれ、四季山水図をよく描いた。この作品は雄大な構図、的確な描写など、現存する浙派の作品中の優作である。
中国の明(みん・1368~1644年)という国の画家・戴文進(たいぶんしん)の画です。戴文進は1400年代頃に活躍した著名な画家で、山水を描いては第一といわれ四季山水図をよく描きました。
本図には、春の景色を描いた「春景図」と冬の景色を描いた「冬景図」とがあります。寸法はそれぞれたて146cm、横79cmです。
絹本著色春冬山水図 戴文進筆
重要文化財(絵画)
昭和31年6月28日(文化財保護委員会告示 第29号)
萩市呉服町
財団法人菊屋家住宅保存会
明時代
二幅
戴文進
絹本墨画淡彩、掛幅装
[春景図]
中央下部には土坡、左には橋上3人物をおき、右下方には坡脚と松の大樹叢、その下に亭中2人物を画き梅樹数本を点ずる。左には水波を隔てて樹林、右上方には岩峯を配し、その背後には遠山数個をおく。左上方に印2顆がある。
款印 「銭塘戴氏」(白文方印)/「文進」(朱文方印)
[冬景図]
左下方には土坡と坡上に二樹叢、右下隅には騎驢の2人物と従者3人を小写し、中央に突兀の山を低く画き、その背後左方には樹間の桜屋2棟、上方には峨々の山形2個を配し、左方には遠峰数個をおく。右上方には款記及印二顆がある。両幅共樹齢幹は淡岱赭、遠山は淡藍、淡茶色を賦し、樹葉は淡緑色上焦墨で描出する。岩石・土坡は淡青・淡茶色をぬり、焦墨擦筆で皴を施し、人物は焦墨細線で画き、肉身は淡朱茶色、著衣には白群・朱等を用いる。雪は墨を塗り残し、まま胡粉及び淡い茶色で暈彩する。
款印 「銭塘戴文進筆」 「文進」(朱文方印)/「静菴」(朱文方印)/「竹雲書房」(白文方印)
各縦144.5cm、横79.1cm
戴文進については「名山蔵」に記載がある。
「戴進学文進図絵宝鑑 號静菴又號玉泉山人銭塘人、臨精博、爲本朝畫流第一、宣廟善絵事、一時待有謝延循、倪端、石鋭、李在、皆有名、及進入京、衆工妬乃、一日仁智殿呈画、進首幅爲秋江独釣図、一紅人垂釣水、次畫家惟傳紅色、最難而進独得古法、延循曰、此畫佳、甚恨野鄙耳、宣廟叩乃對日、紅品官服色也、用以釣魚、失大体矣、宣廟頷乃、遂揮去餘幅、不復閲、放帰以窮死、死後而人始重之」
「銭塘戴文進生前作画、不能買一鮑、是小厄、後百年呉中聲価漸不敵相(桐カ)城翁、是大厄、然令具眼観之、尚是我明最高手、此巻奕奕秀潤、境意此近而遠、尤可寶也」
「………余初閲之、以爲沈啓南作、見題字不工、及驗其印章、而始知爲文進也、然無一筆錢唐意、蒼老、秀逸、超出蹊逕之外、乃知此君興啓南無所不師法、妙處亦無所不合耳、……」
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