正法眼蔵八十三巻
しょうぼうげんぞうはちじゅうさんかん
山口市
県
有形文化財
室町時代
正法眼蔵は曹洞宗の開祖道元禅師の説教の記録で、曹洞宗の一番大切な書物である。永平寺で木版本が江戸時代末に発刊されるまでは、写本により宗派内に伝えられてきた。
本書は、山口瑠璃光寺本といわれるもので、最古の完備した写本として貴重である。
各巻末に墨書の奥書があり、これにより室町時代末の1490~91年(延徳2~3)に書き写されたものであること、また、写本原拠が記されており伝写の系統がわかることが大きな特徴である。また、全巻にわたり朱筆でふりがな、句読点が付され、当時の発音や読みが知れる。
正法眼蔵は、曹洞宗(そうとうしゅう)を始めた永平道元禅師(えいへいどうげんぜんじ)の説教の記録で曹洞宗の一番大切な書物です。江戸時代末に曹洞宗本山の永平寺で木版本が出されるまでは、正法眼蔵は写本により伝えられてきました。
この本は山口市の瑠璃光寺にあり、山口瑠璃光寺本(るりこうじぼん)といわれるものです。最古の完備した写本として貴重なものです。各巻の終りに写本の元の本の名前や書き写した年(1490-1491年 )が書いてあり、日本で最も古く写されたことがわかります。
また、本の中に赤い筆でふりがなや、「、」「。」がつけられ、当時の発音や読みが知られます。
正法眼蔵八十三巻
典籍
昭和42年1月17日 (山口県教育委員会告示 第1号)
山口市香山町7番1号
宗教法人 瑠璃光寺
室町時代 延徳2~3年(1490~1491)
一六冊
昌誾筆写、祖朱校
袋綴本。各冊とも表紙にはやや厚手のものを用い、右方を糸で和綴じとなす。表紙の上方に内容と巻数を書いた題簽がそれぞれ貼ってある。
和紙に毛筆で記されている。全巻にわたり朱筆でふりがな、句読点が付されている。16冊とも当初のもので、後補などのものはない。
各冊とも縦25.0cm、横10.2cm
(奥書等)
各冊の裏表紙にそれぞれ大体次のような墨書あり。
瑠璃光寺常住
前総持悟宗頓東堂之御代
寄附之 十六冊之内
享禄二天己丑卯月十三日 為宗開山
石屋和尚七世之孫 現住藝刕廿日洞雲寺比丘
前永平 興雲宗繁(花押)(印)
これにより享禄年間(1529)に広島県廿日市の洞雲寺宗繁和尚から、瑠璃光寺5世悟宗圭頓和尚の代に寄附されたことがわかる。
各巻の巻末の殆どに奥書があるが、巻により詳細なものと簡略なものがある。その1、2の例をあげると、
○正法眼蔵観音第十八
尓時仁治三年壬寅四月廿六日
仁治壬寅仲夏十日書写之
永徳二年夏安居日焼香礼拝奉書写之宗吾
永享五年癸丑臘月二日於摂刕永澤寺書写之永本
永徳二年庚戌十一月廿三日書之筆者防陽昌誾校朱引者豫陽祖/img>
○正法眼蔵密語
爾時寛元元年癸卯九月二十日在越州吉田縣吉峯古精舎示衆
于時永享二年二月廿一日越中州高瀬荘北市村於大林寺書之
延徳三年辛亥二月初五日於龍文寺客案枝了也豫陽/img>子などとある。これにより、延徳年間(1490)頃、周防国で昌誾という僧が筆写し、祖が朱筆で校したことがわかる。また竜文寺は都濃郡長穂の竜文寺と考えられる。
正法眼蔵は日本曹洞宗の開祖永平道元禅師が諸所で行った示衆の法話を永平寺の二代和尚懐奘が記録し、また道元みずからが加筆した法語集で、近世以来曹洞宗根本聖典となり、一般の仏教哲学者からも注目されている著述である。江戸時代の末頃、大本山永平寺で木版本として刊行されたが、それまでは約500年間の長い間写本によって曹洞宗内に伝えられて来た。
この写本のうちで著名なものに次の11種がある。
1.正法眼蔵 83巻 延徳3年(1491) 祖校 山口瑠璃光寺蔵
2.〃 60巻 永正7年(1510) 金岡写 広島洞雲寺蔵
3.〃 28巻 紀年不詳 福井永平寺蔵
4.〃 12巻 文安3年(1446) 石川永先寺蔵
5.〃 95巻 享保14年(1719) 台橋写 福井永平寺蔵
6.〃 84巻 延享2年(1745) 有隣宗孝跋 駒沢大学蔵
7.〃 79巻 宝暦7年(1757) 大菴写 静岡最福寺蔵
8.〃 96巻 寛政3年(1791) 両眉写 駒沢大学寺蔵
9.〃 78巻 紀年不詳 兵庫永沢寺蔵
10.〃 95巻 文政10年(1827) 良癡写 京都紫竹林学堂蔵
11.〃 94巻 貞享2年(1685) 円領写 福井永平寺蔵
これにより、瑠璃光寺蔵のものは最古の写本の完備したものであることがわかる。
全巻にわたり朱筆でふりがな、句読点が付されているが、これは当時の発音や読みを知るために貴重である。
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