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文化財の概要

文化財名称

小鯖代神楽舞

文化財名称(よみがな)

おさばだいかぐらまい

市町

山口市

指定


区分

民俗文化財

一般向け説明

 毎年秋の小鯖八幡宮例祭の時、神社の境内で舞われる代神楽舞。起源は、はっきりとは分からないが、江戸時代の初期に、住民の家内安全・繁昌を祈って、宮内の名子(農民)を伊勢に参らせ、伝承を受けたと言われ、古来、氏神八幡宮の所在地である宮河内地区に伝わり、恒例として、毎年4月16日と10月16日の春秋の大祭に舞われてきた。また、民間の五穀豊穣の祈念あるいは豊作の感謝、悪魔払い、その他の慶事に招かれて行った。特に、普請による慶事の祝いや悪癖病払いなどは、獅子舞によって、悪魔を払い、吉祥を招くという信仰があった。慶事に招かれた時は、獅子は、宝剣をくわえ、御幣を持って、竃神様(農家に祭られている農耕の神)を拝んだ後に御幣を奉納し、悪癖病者の悪魔払いには、その動作として、信者の頭を3回パクパクと噛む所作が伝えられている。

小学生向け説明

 毎年、鰐鳴八幡宮(わになきはちまんぐう)の秋祭りのときにおこなわれる代神楽舞(だいかぐらまい)です。鰐鳴八幡宮は小鯖(おさば)八幡宮ともいい、平安時代からつづく八幡宮です。この代神楽舞は、江戸時代のはじめごろより、住民の安全とはんじょうをいのって舞われてきました。いまも、山口市小鯖の宮河内部落の人たちによって伝えられています。
 大小の太鼓をたたき、鉦(かね)と笛を鳴らす人たちの前で、獅子と、「鼻舞(はなまい)」とよばれる赤一色の服を着た人と、ひょっとこの面をかぶり、すりこぎをもった「ひょうげ爺(じい)」、おたふくの面をかぶり、しゃもじをもった「おたま」が舞いおどります。

文化財要録

要録名称

小鯖代神楽舞

指定区分・種類

無形民俗文化財

指定年月日

昭和51年3月16日 (山口県教育委員会告示 第3号) 無形民俗文化財

所在地

山口市

保持者

小鯖代神楽舞保存会

時期及び場所

4月16日及び10月16日の小鯖八幡宮例祭に境内で舞われる。

由来及び沿革

 代神楽舞の起源は、はっきり解らないが、伝えるところによると江戸時代初期住民の家内安全繁昌を祈り、宮内名子を伊勢に参らせ伝承を受けたものといわれ、古来氏神八幡宮の所在地宮河内部落に伝わり、恒例として八幡宮の祭事(毎年4月16日及び10月16日の春秋の大祭)にその境内で行い、また民間の五穀豊穣祈念、或は豊斎を感謝、悪魔払いなど、その他民間の慶事などに招かれて行った。特に普請による慶事の祝い、又悪癖病などは獅子舞によってその悪魔を払い吉祥を招くという信仰があった。民間慶事などに招かれたときは、獅子は宝剣をくわえ、御幣を持ち、竈神様(農家に祭られている農耕の神)を拝してのち御幣を奉納するが、悪癖病者の悪魔払いにはその動作として、獅子は信仰者の頭を3回パクパクと噛む所作が伝えられている。

内容

 太鼓(大小)笛鉦の合奏による、獅子、鼻舞、ひょうけ爺、おたまの演奏で、祠を中心に、小太鼓、大太鼓、その後に笛鉦の演者がならび、獅子は祠の前から鼻舞を腹部に擁し、宝剣をくわえ、ひょうげ爺の前張により舞場を一巡するが、舞は白砂の場で行い、獅子が祠の前に復すると、神楽舞の体制になるため鼻舞は獅子の腹部から出てすりこぎと簓をすりつつ、獅子と相対する位置につくが、日の丸の扇を持ち獅子をややゆする。獅子がこの扇をとろうとして乱舞を始める。以後は鼻舞を中心に右廻りに12角に舞うもので、その間、獅子は鼻舞と相対していて行動は陰・陽の形で行われる。まず、くも舞(右廻りに元気に頭をしゃくりながら少しずつ前進する)で1角前進し、鼻舞と相対し、左、右に鼻舞(鼻舞は常にすりこぎと簓をすりつつ動作は獅子と相反する)と反対の動作で3回舞い、又、くも舞で前進、これを3回反復する。そこまで舞ったとき、獅子はハブチル(むくれること)、いわゆる非常に比較的な舞姿となる。そこで鼻舞はこれを叱咤(獅子の鼻頭を簓でたたく)し励ます。そのうちに再び舞い始める、又再びくも舞3回、舞3回をちょうど6角(半円まで)舞ったところで、獅子は非常にきげんがよくなり、自分の体のノミを取り、又鼻舞のノミを取るなどして再び舞い始め、くも舞3回、舞3回を舞って、今度は天高く舞上る(継獅子と称し獅子を冠って台<人の肩>に立つ)。そして舞場を1周する。この場合、獅子を冠る者は右手に扇、左手に傘を持ち、非常に陽気な姿となる。この時の奏楽は普通と変り非常に激しく、しかも陽気に奏じられる。舞場を1周して今度は獅子を冠って人はそのまま台の人の肩車に乗る。そして後、そりかえって舞場を小さく3回廻り再び元の舞姿に立帰り、同時に奏曲も普通の曲に帰るが、以後は又、くも舞3回、舞3回とこれをやすらかに舞い納める。その間、ひょうげ爺とおたまは、人生和楽の雛形として面白くしかも楽しく舞い歩くが、この場合、ひょうげ爺はすりこぎ(大)をもって左廻りにおたまは杓子をもち右廻りに舞うのである。

構成

(1)獅子 2人 (2)鼻舞 1人 (3)ひょうげ爺 1人 (4)おたま 1人 (5)太鼓(大) 1人 (6)太鼓(小) 1人 (7)鉦 1人 (8)笛 7人

設備・衣装・用具

(1)獅子舞者
 黒の股引、手甲、黒足袋、草履
(2)鼻舞者
 赤衣、手甲、白足袋、頭にしゃぐま、面(鼻高面)
(3)ひょうげ爺
 単衣(白地に熨斗とかぎの藍の染抜き)、白股引、白足袋、草履(赤白の緒)、ひょっとこ面、帯(赤白豆絞り)、擂粉木(大)、瓢箪、煙草入
(4)おたま
 覆面頭巾、おたふく面、柴重衣、黒繻子、丸帯、赤湯巻、白足袋、草履、杓子
(5)太鼓(大小)者
白衣、里袴、白襷、白鉢巻、白足袋、草履
(6)笛鉦者
白衣、黒袴、白足袋、草履 この舞に付随する設備としては、祭壇として小さい祠を設け、台を付け周囲に幔幕を張り、祠には神宮大麻を祀り、榊1対、洗米、神酒を供え、提燈一対を立てる。

音楽

[囃子]
 普通神楽舞の場合の囃子
小太鼓:トントコトントコトントコトントコ この神楽の基調となるもので同一調子で続ける。
大太鼓:トントン チャチキチャチキ(拍子の音) トン チキチャチキ トントン チャチキチャチキ トン チキチャチキ トン チキチャチキ トンチキ トンチキ スットンノトントンノトン トコトコトンノトン ストコトコトンノトントン トコトンノトン これを反復する。
鉦:チャンチャコ チャンチャコ チャンチャコ チャンチャコ これを小太鼓に合わせて反復する。
笛:チーリチーリロロチーリリロロローロ チリリリリーリリロロローロ チリリロロチリリロロ チーリリチリリリリ チリリリーリリリ チーリリリリリーリリリ チリリチーリリローロローロ
 継獅子の場合の囃子
小太鼓:トントコトントコトントコトン トントコトントコトントコトン トコトコトントン トコトコトントン トントコトンノトントン トコトコトントン トコトコトントン トントコトンノトントン
大太鼓:小太鼓と合奏
鉦:チャンチャコ チャンチャコ チャンチャコチャン チャンチャコ チャンチャコ チャンチャコチャン チャカチャカ チャンチャン チャカチャカ チャンチャン チャンチャコチャンノチャン
笛:チリリリリ リ チリリリ チリリ リリ チリリリ チリリリーリ チリリリーリ チリリー リーリ

画像

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