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文化財の概要

文化財名称

住吉神社「お船謡」

文化財名称(よみがな)

すみよしじんじゃ「おふなうた」

市町

萩市

指定


区分

民俗文化財

一般向け説明

 7月下旬の吉日に行われる住吉神社の夏大祭の「御祭事始め」に神社の拝殿で、また、8月3日のご神幸祭に、町中の指定された場所で演じられる御座船唄。毛利藩の御座船唄として、藩主乗船の際や新造藩船の進水などの時に、それを祝って演唱された。その後、1659年(万治2)に、住吉神社が勧請され、その御神幸にあたって、藩庁から、藩主の御座船を模した山車「お船」を寄進して、その船上で「お船謡」を演唱するのが慣習となった。しかし、藩政時代には、一般には演唱が許されず、藩の世襲的な役職である「お船謡舸子組」の家柄の者のみに限られていた。明治以後は、藩との関係を離れ、神幸祭の行事のうち、「お船」に関することだけは、浜崎在住の実力ある魚問屋が主催する住吉神社所管の祭祀行事となった。

小学生向け説明

 7月下旬の吉日に行われる住吉神社夏大祭の「御祭事始め」と、8月3日の御神幸祭に、演じられる御座船唄です。毛利藩の御座船(藩主が乗る船)の唄として歌われたものです。1659年(万治 2)、住吉神社が迎えられて、その御神幸の時に、御座船と同じ形の山車「お船」を寄進し、その船上で、お船謡舸子組の家の者が歌うのが習わしとなり、明治以後は、浜崎の実力のある魚問屋が主催する住吉神社の祭り行事となりました。

文化財要録

要録名称

住吉神社「お船謡」

指定区分・種類

無形民俗文化財

指定年月日

昭和51年3月16日 (山口県教育委員会告示 第3号) 無形民俗文化財

所在地

萩市

保持者

住吉神社御船謡保存会

時期及び場所

 7月下旬の吉日に行われる住吉神社夏大祭の御祭事始めに、住吉神社拝殿で又8月3日の神幸祭に街内の指定された場所で演じる。

由来及び沿革

 このお船謡は毛利藩の御座船唄として、藩主乗船の際や新造藩船の進水などの時、その船行を祝って演唱された。その後万治2年(1659)住吉神社が勘請されその神幸祭に当って、藩庁から藩主の御座船を模した山車「お船」を寄進し、その上で御船謡を演唱することが例年の慣習となったが、藩政時代には「お船謡」の演唱は一般には差し止められており演唱者も藩の世襲的な役職である「お船謡舸子組」の家柄の者に限られていた。「お船謡」とそれを詠唱する舞台である山車「お船」は藩用船の役務を司っていた。「お船倉の所管であり、神社とは直接の関係はなく、又「お船」を引くものも「お船倉」に属している協敬組という者の世襲の職務であった。明治以後は藩との関係をはなれ、神幸祭の行事のうち、「お船」に関する諸事のみは、浜崎在住の実力のある魚問屋が主催する住吉神社所管の祭祀行事になった。当時は魚問屋が自家の使用人を使って「お船」を引かせ問屋の若主人等が「お船謡」を唄っていたが、時勢の推移により萩各町内で引受けるようになり、演唱者も浜崎町内の一般から選定して習得させ、今日まで伝承して来たものである。

内容

 「御祭事始め」は7月下旬の吉日を卜し、午後8時から約1時間にわたって住吉神社拝殿にて行われる。
 まず、神社関係者全員神前に着座し、修祓、献饌、祝詞を奏上ののち、新しく「お船謡」演唱者に加わった「新乗船者」を謡長が紹介し、一同「お船謡」を演唱し各員玉串拝礼をして、撒饌、続いて議事に入り、直会終了後各員退席する。
 神幸祭は8月3日に行われ、山車「お船」は神輿の街頭出御に供奉し午後3時頃より夜中にかけて、神幸道順の途次「お船」の上で「お船謡」を演唱する。
 山車「お船」は曳網を引く曳き子と、挺手扱い(梶取り)をする表仕により、街内を曳き廻されるが、演唱場所はあらかじめ神社で指定された場所以外は許されない。
 謡はまず、法螺貝をたてて一吹きして始る。次いで太鼓を2叩きし、三味線の前弾きがあり、謡い方の1人が歌い出す。謡い手が1区切り謡うと三味線・太鼓の囃子と共に、地及び囃子の皆も含めて全員であとの歌詞(地歌という)をうたいつぐ。謡は前後の祝儀歌と3首の主歌よりなり、これが同じ謡い方で繰返され、ただ最後の主歌が終るとすぐ結尾の祝儀歌で歌い継げられる。
歌唱がすべて終ると、法螺貝がお船の進行を告げて吹き流され、太鼓がこれに合せて乱打され謡は終る。演唱が終るとすぐ奉仕の代表者が「うら謡」をうたい、掛声と共に「お船」は曳かれ次に移動する。

構成

(1)謡長 1人 (2)謡い手 5人 (3)地 3人 (4)法螺貝 4人 (5)太鼓 1人 (6)三味線 4人

設備・衣装・用具

 衣装は全員、白麻紋付、白足袋、白の肩衣、袴を着用し、茶色の博多帯をする。紋は櫂を2本交叉させた特有のものであり、全員白扇をもつ。 山車「お船」は藩主の御座船を模したもので、杉材で長さ773cm、幅215cm、艫の高さ158cm、周囲には波に竜をあしらった極彩色の絵を画く。「お船」には紫ちりめんの(一字三星紋・萩毛利家家紋)を染め抜いた幔幕をはりめぐらし、高張提灯及び袖張提灯を衝け夜はこれに灯を入れる。又「お船」の後部に毛槍、太刀、薙刀、弓、傘の5種の採物に吹貫、旗幟を飾り、船首にも猩々緋のラシャ地に「立浪」の金糸刺繍をした飾物を付け、毛槍は船の前部両脇に3本宛飾る。

歌詞

1.めーでたーノまたのエンヨーホホンホンホンホホわーかいおりてんえーだウハウハウハモーヨエーンエンコノコノコノエーさかハハゆーるノーンヨーウンホウホウホホーホホーホーハハーハモオオオーオーシしゅげーる
1.イヤー我が住家はたんたん丹波の山の谷合谷底のーサテー芝はハノーヤレいーおりーの又のエンヨホホンホンホホンホホなーついおりてんみーやウハウハウハモーエヨエーエンコノコノコノエーエなれエエーとーもーノーンヨンウホウホウホホーホホホーたーびーヒヒはーわるい
1.イヤー滋賀の辛崎なーる1とつの松はカラコロだんがいスジリリモジリよんござーるアマつん鶴金鶴チリタラリンすじりりたらはんもじりりたらおんチリツルテレテン聞けーひとほほリーヤレ女郎や女郎女郎順礼がノーエンヨホホンホンホンホホあーしいおりてんワーシイヒイヒイヒもーエニエーエンコノコノコノエーエやーらハハハーいでノーンヨンウホウホウホホーホホホーつーれーエエエエエをオーまーつ
1.イヤー皆もご存じご座りましょがナー裏のオー書院の小松のオ枝にーもずがとまーりてあすウーの夜あアけにわなーキリンヤキリンヤエーキリンキリキリとものーサテーなくーヨーとりエーなーくまりか又のエンヨホホンホンホンホホとーりーいおりてんなーくウハウウハモーエーヨエーエンコノコノコノエーエみやーハハまアーのーノーンヨーホホウホウホウホホーホホホーホホトーホホホーホオオとぎーす
1.めーでーたーいイーヤーーアアーわーかー
 いおりてんえーだーはハーもーやーよいー
 (歌唱からの記録)

画像

住吉神社「お船謡」 関連画像001

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住吉神社「お船謡」 関連画像003