木造金剛力士立像
もくぞうこんごうりきしりゅうぞう
防府市
国
重要文化財
鎌倉時代
防府市阿弥陀寺の山門に安置されている。共にヒノキ材の寄木造り、玉眼(ぎょくがん)入りである。口を開いている阿形(あぎょう)の像高は270cm、口を閉じている吽形(うんぎょう)の像高は275cmである。最初は彩色があったであろうが、現在は素木の状態である。像は共に頭体部に内ぐりが施されているが、5cm~10cm厚に材を残し、堅牢な構造となっている。本像は他の金剛力士像とくらべると、いたずらに力感をみせる誇張に走らず、上体の構えも垂直で、手がつくる空間も不自然さがなく、五体のバランスは自然である。表情は忿怒のすさまじい形であるが、肋骨の下方にあらわされるこぶ状の筋肉などはまだ形式化していない。阿形像の裳裾は風にあおられてまくれあがるように膝にまといついているが、他の金剛力士像にはみられない手法で写実的である。作者は、阿弥陀寺開山の重源にゆかりの深い仏師である快慶一派の作かと思われる。制作年代は阿弥陀寺建立とほぼ同時代の13世紀はじめ鎌倉時代初期としてよいであろう。
防府市阿弥陀寺(あみだじ)の山門に置かれてあります。
両方ともヒノキ材の寄木造りです。
口を開けている阿形(あぎょう)の像の高さは270cm、口を閉じている吽形(うんぎょう)の像の高さは275cmです。
最初は色がつけられていたとおもわれますが、いまは木目があらわになって、素木の状態です。
作った人は、阿弥陀寺を開いた重源(ちょうげん)と関係のある、快慶(かいけい)とおもわれます。
つくられたのは、阿弥陀寺が建てられたときと同じ鎌倉時代の初めごろです。
木造金剛力士立像
重要文化財(彫刻)
昭和31年6月28日(文化財保護委員会告示 第29号)
防府市大字牟礼1869番地
宗教法人 阿弥陀寺
鎌倉時代初期
二躯
阿形
単髻、顔面斜右向、瞋目開口、上半身裸、左手臂を挙げて肩上に持物を握り、右手側方に伸下し掌を伏せて、指先を内側に向け五指を開く。腰を左に捻り、右足を踏出し重心を左足に息めて立つ。裳裾右に靡く。
〔本躰〕
桧材、寄木造、彩色(剥落)、玉眼嵌入、内刳。
髻四材矧(両側3.0㎝、背面4.5㎝、厚材矧付け)、頭頂に角立(7.9㎝長、3.3㎝、2.9㎝角)矧付け、このに「應安二年云々」の修理墨書銘あり、像の中心材は前面中央より左側、即ち頭部左側(左耳を含む)より左足及び足に至る長さ274.1㎝、幅23.3㎝、奥行37.6㎝厚の一材より彫成し、頭躰部に最小7.0㎝、最大9.7㎝の厚さの彫刻面を残して内刳を施すも、脚部以下内刳なし、即ち中心材より右側に頭部(長さ頂上より48.5㎝、幅左耳前より右耳後)一材を矧付け、更に面部(左耳より3.9㎝、右耳より6.1㎝前方)を割矧ぎとして内刳、下顎別矧ぎ(後補)、この頭部より部に至る材(幅23.0㎝)と肩付根部(厚7.0㎝)の二材を縦矧ぎとし、更に部より右足に至る長さ163.6㎝、幅25.8㎝、厚39.4㎝の材を斜矧ぎにし、中央両脚間に三角形の裳先を矧付ける。中心材より左側は肩付根部(厚6.1㎝、幅22.7㎝、長64.5㎝)を矧付け、これに小材三材矧付け、更にこれより左横腹より、左腰外側、左足外側(約2.1㎝厚材)に至る間に小材十材を縦矧、背面は後頭部矧付け、首付根より裳先に至る間、大略二材中央縦矧ぎなるも、左方は肩一横材、裾二縦材の小材矧付け、右方は肩二横材の小材矧付け、左足背面部矧付け。左手は肩付根、臂、手首にて矧付ける。膊は大略二材矧、内刳を施し、前面に小材一、背面に五材矧付け、前膊は大略四材矧、内刳、前面に小材一矧付け、手先は一材に刻み、第一指を矧付ける。右手は肩付根に矧付け、上前膊を通して大略二材矧、内刳を施し手首を矧ぐ、肩付根部に前面一、背二、内側一の小材矧付け、手先一材、両足先矧付け。
以上の各矧目の内、中心材への大材矧部には一ないし二箇の通い(約1.5㎝×6.1㎝の角材)を施し、両手付根部は径3.6㎝の丸一、背面の中央矧には上部径3.9㎝、下部径は3.5㎝の丸各一を施す。
〔台座〕
松材、長方形の仮座。
吽形
単髻、顔面斜左向、口を閉じ、左手側方に伸下し掌を伏せて、指先を内側に向け五指を開く、右手屈臂、掌を前にして、五指を竪て開く、腰を右に捻り、左足を踏出し、重心を右足に息めて立つ。
〔本躰〕
桧材、寄木造、彩色(剥落)、玉眼嵌入、内刳。
大略阿形像に同様の構造であるが、この像の中心材は前面中央より右側、即ち頭頂より右足に至る長さ265.1㎝、幅23.0㎝、奥行37.3㎝の一材より彫成し、内刳阿形に同じ、これに両側面及び背面に各数材を矧付けて構成されている。即ち前面は中心材より左側に、頂上より下部に至る長さ120.3㎝、幅24.2㎝、奥行は正面より左耳後までの材を中心材に矧付ける。顔面部は中心材と共彫にして、両耳前に割矧、内刳す。左肩付根部に7.6㎝厚材矧付、更に下部より左足に至る材を斜矧ぎにし、両脚間に三角形の裳先を矧付ける。次に中心材より右側に肩より右腰裳折返し下部に至る材(更にこれに小材三矧付け)を矧付け、更に右腰裳折返し下部より右足外側に至る材を縦にす。次に背面は後頭部一材矧付け、首付根より裳裾に至る間は中央縦にして、これより左側は、幅は中央より肩付根まで、長さは首付根より裳裾までの一材へ、更にこれより左寄りに腰より裳先まで三材の別材を矧付けている。又、中央より右側は、幅は中央より肩付根まで、長さは首付根より52.4㎝の材を矧付け、更にこれより裳裾に至る材(これに小材、後補材、各二矧付け)を縦矧ぎす。なお右足背面部矧付け。左手は肩付根に矧付け、上前膊を通じて二材矧ぎにし内刳、肩付根部背面に小材一を矧付け、手首を矧ぐ。右手は肩付根、臂前、手首にて矧付け、上膊は前後大略二材矧ぎにし、肩付根部に小材(腋下部一、背面三枚)矧付け、内刳、前膊は大略一材にして、小材、後補材各二矧付け、両足先矧付け。
以上の各矧目ははほとんどなく、鎹、鋲釘止にしているか、中心材より右側の右腰部の矧付けに0.9㎝×3.9㎝角のを二個、中心材より左側、即ち左腰斜矧部(下腹部)に一、及び左腰外側部に二個の跡があるが、これは木組当初のもので、彫刻を進めるに従い露出せしもので、現在用をなさず。
〔台座〕
松材、長方形の仮座。
阿 形 吽 形
〔本躰〕 ㎝ ㎝
像高 270.0 275.1
頂上~顎(髻頂除) 47.6 49.1
面幅 25.1 29.4
耳張 34.8 37.9
面奥 40.0 41.8
臂張 135.4 125.7
足先間 94.2 90.0
〔台座〕 ㎝ ㎝
方座高 21.2 21.2
幅 130.0 130.0
奥行 77.6 77.6
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