木造千手観音菩薩坐像
もくぞうせんじゅかんのんぼさつざぞう
山口市
県
有形文化財
鎌倉時代
山口市龍蔵寺に安置されている秘仏である。ヒノキ材の寄木造りである。像高は77.9cm。宝髪には群青(ぐんじょう)、眉は墨、眼は胡粉地に墨で瞳を入れている。頭上に十の菩薩面と二つの仏面がある。千手観音の多くは千手を42本であらわしたものが多い。この像も42本である。像が素木(しらき)であること、面相や衣紋の彫りが深くなっていることなどから、13世紀(鎌倉時代)の制作と見るべきである。
なお、昭和60年度保存修理の折、頭頂より水晶製五輪塔型の仏舎利器(高さ3.2㎝)が発見された。
この仏像は、山口市龍蔵寺にあります。ヒノキの材木を彫って各部分をつくり、それを組み合わせてつくられています。像高は約78cmです。
頭上にあるのは十の菩薩面と二つの仏面です。
千手観音の多くは千手を42本であらわしたものが多く、この像も42本です。
鎌倉時代につくられたものとおもわれます。
木造千手観音菩薩坐像
彫刻
昭和41年6月10日(山口県教育委員会告示 第5号)
山口市吉敷1750番
宗教法人 龍蔵寺
鎌倉時代
一躯
頭上面は頂上に仏面を据えている。天冠の上部の地髪に十面の菩薩面がある。外に坐像の化仏が正面にある。天冠台の左右に天冠紐をたらしている。白毫は水晶を嵌入している。眼は彫眼。左肩から右脇下にわたっていて條帛をかける。その上に天衣をまとめ、天衣の腕下から先の部分は欠失。眞手は合掌。第二手は宝鉢をとっている。左右に脇手が19本(6本、7本、6本あて)3列に配されている。左足を上にして結跏趺坐している。
材料は桧材、寄木造り、内刳り、素木であるが、宝髪は群青、眉は墨、眼は胡粉地に墨で瞳を入れている。唇は朱を用いている。頭部は耳の後で前後に矧ぎ、胴体にさし込み、頭上面は別木、躰躯前後矧ぎ、眞手第二手ともに一木彫出。膝前は別木矧付。裳先先端部矧付(後補)、脇手は真手第二手の後方の板状の材に配置する。
後補部 天冠紐、天冠正面のすかし彫り飾。胸飾。脇手の大部分及び持物。坐像の化仏。彩色。
台座は桧材、蓮肉は六辺葺蓮瓣。請花は八角形式敷茄子。八角形受座、八角形反花(胡桃型)。八角形二段框座(下段の框座の上縁は彫出殊紋の装飾)。
後補部 請花、八角形敷茄子。
光背は桧材、素木、光脚付二重光背(素木)。
〔本躰〕
像高 77.9㎝
頂上~顎 32.7㎝
同(頂上仏を除く) 24.2㎝
髪際~顎 13.8㎝
面幅 13.3㎝
耳張 16.4㎝
面奥 16.5㎝
眞手臂張(合掌手) 36.4㎝
脇手最大張 77.9㎝
膝張 59.4㎝
膝高(左) 11.0㎝
膝奥 38.5㎝
裳先奥行 6.4㎝
〔台座〕
総高 56.8㎝
蓮肉幅 69.7㎝
同厚 23.6㎝
華盤幅 59.1㎝
同厚 6.7㎝
下敷茄子幅 34.5㎝
同厚 5.8㎝
受座幅 56.1㎝
同厚 3.0㎝
反花幅 60.6㎝
同厚 3.6㎝
上框座幅 64.2㎝
同厚 4.5㎝
下框座幅 81.2㎝
同厚 8.2㎝
〔光背〕
総高 80.6㎝
頭光幅 38.0㎝
身光幅 59.2㎝
光脚幅 58.5㎝
同高 15.5㎝
同厚 1.2㎝
光背厚 1.8㎝
竜蔵寺は真言宗の古刹である。本堂の本尊は現在は大日如来である。境内に観音堂があり、その本尊がこの仏像である。寺伝では、文武天皇の二年役小角が来てここに熊野権現社を創め、その後、天平13年(741)に僧行基が来て千手観音像を造り、寺を竜蔵寺と号したとある。現在の観音堂の本尊千手観音については特別の由来はない。
〒753-8501 山口県山口市滝町1-1
Tel:083-933-4666 Fax:083-933-4829
E-mail:
Copyright(C) 2010 山口県観光スポーツ文化部文化振興課