木造十一面観音菩薩坐像
もくぞうじゅういちめんかんのんぼさつざぞう
宇部市
県
有形文化財
南北朝時代
宇部市円通寺の本尊である。クス材の一木造りで像高は57.5cm。頭上に化仏10面をいただき、両手で蓮華をささげてすわる型で、その容姿は美しい。頭部、体部は前後二材をはりつけ、内ぐりをしている。体内にくわしい墨書銘があり、これにより康永4年(1345)に仏師平林時象観阿が造立したことがわかる。古く円通寺はこの地方の領主内藤氏の祈願所であり、この観音菩薩はその本尊であったという。しかし同寺は明治初年廃寺となり、本像は小庵に移されていたが、近年小庵の寺号を円通寺に復した。
宇部市の円通寺の本尊です。
クスを材とした一木造りで、仏像の高さは58cmです。
頭上に化仏10面をいただいています。
像のなかに墨で書かかれたた文字があり、これによって、1345年に仏師平林時象観阿がつくったことがわかります。
むかし円通寺はこの地方の領主内藤氏の祈願所であり、この観音菩薩はその本尊であったといいます。
この仏像は、つくられた年、つくった人がともに明らかである点で貴重です。
木造十一面観音菩薩坐像
彫刻
昭和41年6月10日(山口県教育委員会告示 第5号)
宇部市大字東吉部117番地
南北朝時代 (康永四年)
一躯
観阿
樟材一木造り
像高 57.5㎝
頂上~顎 23.0㎝
髪際~顎 10.0㎝
面幅 9.4㎝
耳張 12.3㎝
面奥 12.6㎝
臂張 30.0㎝
膝張 40.3㎝
膝高 7.8㎝
台座総高 23.9㎝
像内に次の銘文がある。
「長門国伊佐別府於平林十一面像一躰奉造立大檀那筑辺左近入道為逆修所造立也乃至祗園妙音平等利益 康永四年大歳乙酉八月一日始之 仏師平林時象観阿大願主筑辺左近入道」
宗教法人 円通寺(昭和42年1月17日 山口県教育委員会告示 第4号)
寺伝に円通寺は大内家の家臣、荒瀧城主内藤左衛門尉隆春の祈願所であったといい、本像は伊佐別府の城主筑辺左近が内藤家へ贈ったものというが、造立の時期と内藤隆春の時代には二世紀の隔りがある。円通寺は明治三年廃寺となり、本堂は解体されたが、本像のみは村民が小庵に安置して維持し、昭和15年説教所とし、同28年には寺号を復して円通寺の再興をみた。本像に対する遠近の尊崇がいかに厚いものであったかを知ることができる。
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