木造毘沙門天立像
もくぞうびしゃもんてんりゅうぞう
萩市
県
有形文化財
鎌倉時代
萩市川上玉泉寺境内の毘沙門堂に安置されている。クス材の一木造りで、内ぐりはない。像高は165cm。大陸風なよろいをつけ、目をいからせ、口を閉じる。右手に宝棒をにぎり、左手に宝塔をささげて、邪鬼をふんで立つ。邪鬼、岩座は後補である。あらけずりの地方作であるが、面相にきびしさが、体躯に力強い量感が見られる。制作時期は鎌倉時代初期13世紀初期頃と見られる。
萩市川上にある玉泉寺(ぎょくせんじ)境内の毘沙門堂(びしゃもんどう)に安置されています。
クスを材とした一木造りで、内ぐりはありません。
仏像の高さは165cm。
あらけずりの地方作ですが、面にきびしさが、体に力強い量感が見られます。
つくられたのは鎌倉時代のはじめごろ、1200年代初期とおもわれます。
木造毘沙門天立像
彫刻
昭和41年6月10日(山口県教育委員会告示 第5号)
萩市川上4546番地
宗教法人 玉泉寺
鎌倉時代初期
一躯
木造樟材、一木造り(但し三面修理の形跡あり)。彩色剥落、宝髪、彫眼、開眼、唐様甲。左手屈臂上に挙げ5指を伸し、掌に物を載す形を為し、右手屈臂腰部に当て、劔を握る形を為す。籠手、徑当を着け沓をはく。腰をやや左にひねり、左足をもって夜叉の頭部を、右足を以って腰部を踏む。
像高 165㎝
肩幅 35㎝
胸囲 79㎝
腕長右 67㎝
手首回り 20㎝
腰回り 106㎝
膝下右 46㎝
膝下左 45㎝
肘下左 46㎝
右足首回り 32㎝
左足首回り 32㎝
現在玉泉寺境内毘沙門堂に脇侍の吉祥天女、善日童子の両像とともに安置されている。昔、阿武川の洪水のとき見島に漂着した。島の漁師が取り上げて祭っていたが、土地が鳴動して人々を驚かした。託宣によって本村へ送り返されたという。この毘沙門堂は寛文11年(1671)建立の生福寺毘沙門堂であるが、明治四年同寺は廃寺となり山口市の泰雲寺法務所毘沙門堂を称した。のちしばしば生福寺の再興を図ったが、ついに大正八年福島県から玉泉寺の寺号を移転して目的を果たし、現在に至っている。現在の毘沙門堂は大正11年再建のものであるが、厨子は寛文の建立当時のものと思われる。
元生福寺(大内町泰雲寺末寺にして、阿武郡川上村に在りしもの)の鎮守として阿武郡川上村字堂河内にありしも、往昔洪水の節、尊体見島に漂着せしをもって見島のし漁人取り上げ信仰せしに、彼地殊の外鳴動す。里人驚きこれを占いしに、本所へ帰るべきとの託宣有り。それより本寺へ送り来る。よって寛文11年生福寺境内に毘沙門堂を建立す。爾来福神として世人の尊崇を極めて、おりしも明治4年生福寺廃寺となるにおよび現在の玉泉寺に移し、堂宇を建立し現在に至る。
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