木造獅子頭
もくぞうししがしら
防府市
国
重要文化財
鎌倉時代
防府市防府天満宮に蔵する。高さ31.6cm、張り41.6cm、奥行44.7cmである。塗りはヒノキ材に麻布をかぶせ、その上に黒うるしまたは朱うるしを塗っている。彫は深く、力強い勇壮な刀法である。舌および耳は別につくりつける。いま右耳が亡失。上あごの内面に黒うるしで銘があり、正平10年(1355)に修理をしたことがわかる。鎌倉時代に遡るような獅子頭が残っていることは極めて珍らしい。
附けたりの木造獅子頭も防府天満宮に蔵する。クス材でうるし塗り、上下あごもほぼ一材製である。高さ28.5cm、張り34.5cm、奥行41cmである。下あご内部にうるし書の銘があり、正平10年(1355)の制作年代がはっきりする。舌、両耳などは後補で、うるし塗りも再三塗り替えが行われたようで、慶安5年(1652)、貞享2年(1685)、享保17年(1732)などの修理銘がある。
同じく附けたりの木造鼻高面は、材は不明であるが、一材製で、鼻を基部ではぎ付けている。面の長さ24.9cm、面高15.7cm、面幅17.4cm、鼻の高さ(はぎ付け面まで)6.4cmで、布下地うるし塗りである。裏面内側に朱うるしの銘があり、正平10年(1355)の制作とわかる。表面は朱うるし塗りで、眉・眼・髪を黒うるしで描く、裏面は黒うるし塗りである。猿田彦をあらわす面で、眉を寄せ、目をいからせ、口を閉じて強くしめる面相は、鼻高面の特徴をよくあらわしており、その彫りは優秀である。破損はなく、保存はよい。
防府市の防府天満宮あります。
高さ32cm、張り42cm、奥行(おくゆき)45cmです。
ヒノキ材に麻布をかぶせ、その上に黒うるしまたは朱うるしを塗っています。舌および耳は別につくり、つけています。いま右耳がなくなっています。
上あごの内がわに文字があり、1335年に修理をされたことがわかります。鎌倉時代のこのような獅子頭が残っていることは極めて珍らしいことです。
附 木造獅子頭(正平十年の造銘がある)
クスを材としてつくられ、うるしが塗られています。
高さ29cm、張り35cm、奥行41cmです。
下あごの内がわに「正平十年(1355)之を造る、天満宮」などという文字があります。舌、両耳などは後につくられたものです。うるし塗りも何度も塗り替えが行われたようで、1652年、1685年、1732年の年号の刻まれた修理の文字があります。
附木造鼻高面
材料は不明ですが、一材製で、鼻を根元のところではぎ付けています。
面の長さは25cm、面高16cm、面幅17cm、鼻の高さ(はぎ付け面まで)6cmです。
表面は朱うるし塗りで、まゆ・眼・髪、裏面は黒うるし塗りです。猿田彦をあらわす面です。
1355年につくられました。
木造獅子頭
上顎内面に正平十年の修理銘がある
附 木造獅子頭
下顎内面に正平十年の造銘がある
附 木造鼻高面
正平十年の朱塗銘がある
彫刻
平成4年6月22日
防府市松崎町14番1号
宗教法人 防府天満宮
・木造獅子頭
鎌倉時代後期
・附 木造獅子頭
南北朝時代 正平10年(1355)
・附 木造鼻高面
南北朝時代 正平10年(1355)
一頭
附 一頭
附 一面
・木造獅子頭
眉根を寄せて、瞋目、上下歯牙をあらわす通行の形である。
桧材、布貼、錆下地、漆塗及び箔押。上下顎共中央縦矧の左右二材製。舌及び耳別製(下地舎人粉漆塗)、右耳亡失。眉上、下唇、頭の後縁部に沿って植毛(亡失)。上下歯噛合面に鉄板打付。外面は箔押(剥落)の上から黒漆塗(補)、内面は朱漆塗(補)とする。
・附 木造獅子頭
眉根を寄せて瞋目、上下歯牙をあらわす通行の形である。
樟材、漆塗。上下顎共大略一材製。当初は全面布貼、錆下地であったらしいが現状は剥落し、外面は黒漆塗(補)、他は大略同前(「木造獅子頭 正平十年の修理銘がある」に略同じ)。舌及び両耳(補)、桧材、舌両側を縦矧。右上顎から鼻の一部、長さ28.0㎝、前方部幅18.0㎝、後方部幅14.0㎝が剥脱。右上顎前牙補修。
・附 木造鼻高面
眉根を寄せて瞋目、口を閉じて強くしめる。鼻高。
材不明、布貼錆下地、漆塗。鼻を基部で矧付ける他、一材製。表朱漆、眉、眼、ひげ及び裏黒漆塗。
・木造獅子頭
高 31.6㎝
張 41.6㎝
奥 44.7㎝
・附 木造獅子頭
高 28.5㎝
張 34.5㎝
奥 41.0㎝
・附 木造鼻高面
面長 24.9㎝
面幅 17.4㎝
面高 15.7㎝
鼻高(矧付面まで) 6.4㎝
・木造獅子頭
(上顎内面黒漆銘)
「つちのへ未」延宝七年 施主勘兵衛 十月九日修理
□(正)平十年 天神□(宮) 乙未□(五)月修理 塗り田中勝左衛門
・附木造獅子頭
(上顎内面朱塗銘)
□(慶)安五年 奉再興獅子頭 十月九日 施主九右□ 小大夫跡目
「貞享貳 九月吉日 九右衛門〔 〕」
(舌下面黄漆銘)
施主九右衛門
(下顎下面黄漆銘)
施主九右衛門敬白
(下顎内面黄漆銘)
貞享貳年丑九月廿一日 「〔 〕(正平)十年」 施主九右衛門子
「天神宮」 九右衛門敬白
享保十七子、二月 日
毛利六郎左衛門内 伊藤亦右衛門
「〔 〕(乙末)造之」 塗替之
塗り 田中勝左衛門俊勝
・附木造鼻高面
(裏面朱漆銘)
〔 〕(天神宮) 正平十乙未造之 鼻高
昭和47年1月11日(山口県教育委員会告示 第1号)、以下の三件で、個別に、県有形文化財に指定されていた。
・木造獅子頭
正平十年の修理銘がある
・木造獅子頭
正平十年の造銘がある
・木造鼻高面
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