銅鐘
どうしょう
光市
国
重要文化財
平安時代
高さ67.9㎝、口径43.0㎝、朝鮮王朝の一つである高麗時代の朝鮮鐘。
鐘身の丈が低く、ずんぐりしていて、最上部の龍頭は鐘身に比べて大き過ぎる感じである。龍頭の旗挿や鐘身の唐草文帯、蓮の花弁を主体とした飾りや文様、撞座の間の飛天(空中を飛ぶ天女)など朝鮮鐘の形式を備えている。その形状から判断して、11世紀後半に造られたものと推測される。
なお、追刻銘(後に刻まれた銘文)から、1367年(貞治6)には我国に渡来していたことがわかるが、我国への渡来を示す追刻銘ものとしては最も古いものである。
高さ約68㎝、口の直径43㎝、朝鮮半島にあった高麗(こうらい)という国で造られた銅の釣鐘です。
1200年代後半に造られたと考えられていますが、あとから刻まれた銘文により、1367年には日本に渡って来ていたことが分かります。この銘文は、日本への渡来を表すものとしてはもっとも古いものです。
銅鐘 周防州三井村賀茂霊祠撞鐘貞治六年三月十五日ノ後銘アリ
重要文化財(工芸品)
昭和14年10月25日(文部省告示 第432号)国宝(旧)
昭和25年8月29日 文化財保護法施行により重要文化財
光市三井817
宗教法人 賀茂神社
高麗時代
一口
高さ 67.9㎝
口径 43.0㎝
(銘文等)
諸行無常
是生滅法
生滅々己
寂滅為楽
周防州三井村賀茂
霊祠撞鐘也
貞治六年丁未三月十五日
大領主 沙弥性心
沙弥智善
領主
鐘身の丈低くずんぐりした朝鮮鐘である。笠形上に龍頭は鐘身に比して過大であるが、右前肢は前方に出して爪間に宝珠をつかみ、左前肢を後ろに開き、首を逆U字形に曲げて笠形上の宝珠を噛む姿をあらわしている。龍の右脇にはわずかに外へ傾く甬(旗挿)を立てるが、その側面には下から仰・伏蓮弁帯を二段と、仰蓮弁帯を二段に重ね、口縁部は四花形の刳りを入れている。笠形は二段盛上げとし、周縁に有稜素弁の蓮弁帯をめぐらしている。
鐘身部の上帯と下帯にはそれぞれ同形の宝相華唐草文をめぐらし、細い連珠文帯を縁取りとする。上帯の下縁四方に垂下する乳郭帯にはパルメット唐草文を飾り、同じく連珠文の縁取りをする。乳は三段三列の九乳で蓮蕾形をかたどり、座は花形で周囲に連珠文をめぐらす。なお、乳は所々で欠損し、総計五個を数える。乳郭と乳郭との中間下方には撞座と飛天とが交互に配置されている。すなわち、撞座は前後の二箇からなり、その高さは下帯にほぼ接している。その形状は薄肉の複弁八葉蓮華文を主文とし、中房と花文の周縁には細い連珠文をめぐらしている。飛天は天衣を翻し、雲上に合掌する姿を薄肉にあらわすが、きわめて素朴であり、鋳上りも精巧な作とはいいがたい。
本鐘には原銘はないが、口径に対する鐘身高の比率や甬高の比率からみて、十一世紀後半の製作と推定される。なお、撞座と飛天の間には、別記の追刻銘があり、貞治六年(1367)には、わが国に渡来していたことが知られるが、これは本邦渡来をあらわす追刻銘のなかでは最古の資料である。
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