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文化財の概要

文化財名称

国分寺金堂

文化財名称(よみがな)

こくぶんじこんどう

市町

防府市

指定


区分

重要文化財

時代

江戸時代

一般向け説明

 防府市国分寺町に所在の古刹である。桁行22.03m、梁間15.80m、棟高18m、入母屋造りの床張りで、重層で正面と背面に一間の向拝がついている木造建築である。
 741年(天平13)に聖武天皇の詔によって全国に建立された国分僧寺の一つである。建立以来、災害と再建を重ね、記録上明確なものは、1417年(応永24)の一山炎上、1642年(寛永19)の再建、さらに現金堂は長州藩主毛利重就の命により再建、1780年(安永9)に竣工したのである。江戸時代後期の寺院建築としては珍しい本格的な仏殿である。外観は禅宗様式の建物であるが、細部に和様の手法も見える。平面は天平以来の形式と誤解されやすいが、当初のままではない。この金堂は、近世期の仏殿としては豪壮なものであり、山口県の建築史の上からもその技法を知るために貴重なものである。

小学生向け説明

 国分寺は、741年(天平13)に聖武天皇によって全国に建立された国分寺の一つです。この金堂は、江戸時代の1780年に、長州藩主毛利重就によって再建されたものです。江戸時代後期の寺院建築としては珍しい本格的な仏殿です。

文化財要録

要録名称

国分寺金堂  1棟
  附 旧風鐸 1個
    旧獅子口1個

指定区分・種類

建造物

指定年月日

平成元年9月2日

所在地

防府市国分寺町2578番の12(防府市国分寺町2578番地の12)

所有者

宗教法人 国分寺

制作等の年代又は時代

安永9年(1780)
・旧風鐸  安永八己ノ亥歳正月九日再建の刻銘がある
・旧獅子口(鰭付)  安永八亥ノ五月日の箆書がある

員数

一棟

構造及び形式

【構造・形式・品質】
木造・重層(外観) 桁行七間(22.035m)、梁間四間(15.801m)

品質及び形状

【形状・寸法・その他】
棟高18m 床張 正・背面一間向拝つき 入母屋造本瓦葺
基礎 周囲雨葛一筋 亀腹 自然石礎石 石製礎盤付
○側廻り 軸部~総円柱上下に粽、床高貫、腰貫、内法貫、頭貫、縁長押、内法長押
キョウ~出組。支輪。中備正面、間斗束(蓑束)。側面中央二間、柱形を長押上におき出組斗拱を付す。隅の間、間斗束。
軒廻~二軒角平行垂木(半繁垂木)。
縁~切目縁・擬宝株高欄・床下連子はめこみ。
雑作~正面一間(外)諸折桟唐戸(内)引違左右引込ガラス格子戸、正面間の左右引込ガラス格子戸、正面間の左右各三間窓ガラス入格子戸引違い。側面前端の間花頭窓。次の間桟唐戸。第三の間連子窓。後端間竪板壁背面中央一間桟唐戸。両脇間竪板壁潜戸付。次の間連子窓。両端間竪板壁天井桟付板天井。
絵様~頭貫拳鼻、組物手先に拳鼻。地・飛檐隅木先端繰形。通肘木先繰形。隅木下持送雲形。
○入側(内陣) 軒部~総円柱粽あり。内法貫、飛貫、頭貫、南面庇側のみ内法長押、上長押あり。
キョウ~外陣側、正面は出組斗キョウ形をとりつけ、側背面根肘木。内陣側、平三斗間斗束、前後中央間及び側面中備平三斗。
雑作~正面一間障子左右二板ずつ引込み、その他障子二枚引違い。内陣・脇陣間、障子四枚引違い。内法長押上欄間竪格子。壁、竪板壁。内陣背面中央三間張壁取付け、両脇陣背面板戸引違い。天井、格天井。
須弥檀~中央背面壁前三間須弥檀あり、土台唐戸面。束間格狭間、擬宝珠高欄漆塗、金具つき。
○上層 下層小屋に土台をおき柱としている。柱上、台輪をめぐらし和様二手先(尾垂木あり)。詰組、扇垂木二軒。小天井板天井、支輪板彫物あり(渦文と瑞花)。頭貫及び台輪先繰形。地・飛檐隅木先繰形。隅木持送り菊花形彫物。
○屋根 本瓦葺、大棟甍、輪違い、獅子口経ノ巻、隅棟、降棟獅子口ノ巻、懸魚鰭つき
○正面向拝 基礎~石製礎盤、円柱上下粽付、側柱との繋虹梁直、袖切、欠眉、釈杖彫、繰形若葉形、木鼻獅子鼻、中備 蟇股。正面頭貫虹梁形、油切、欠眉、釈杖彫、先端象鼻、正面蟇股波形繰形つき。
キョウ~枠肘木 三斗組連三斗つき、大瓶束、笈形柿ノ実、葉彫物、紹綿彫物も同様。
軒廻り~輪垂木二軒、垂木先繰形、兎毛通・桁鼻隠し何れも菊花彫物、破風板、欠眉、先繰形、板階段。
屋根~向唐破風、本瓦葺、獅子口経ノ巻、漆喰造雲形飾り。
○背面向拝~石製礎盤、円柱上下粽あり、側柱との繋ぎ海老虹梁、先拳鼻、頭貫虹梁形欠眉あり(袖切、釈杖彫なし)、先拳鼻。
キョウ 大斗に四斗あり、枠肘木三斗組(連三斗なし)、正面蟇股彫物、竹に虎。虹梁大瓶束、笈形雲形。
軒廻り 輪垂木一軒、垂木先繰形、兎毛通桁鼻隠いずれも彫刻あり、破風板欠眉、先繰形。屋根 向唐破風本瓦葺、獅子口経ノ巻、鰭つき。階段 板階段。

参考情報

 境内地一帯は、国指定史跡「周防国分寺旧境内」(昭和32年7月10日指定)となっている。金堂内に安置されている諸仏のうち日光・月光の菩薩立像・四天王立像の計6体は国の重要文化財に、阿弥陀如来立像1体は県指定有形文化財に夫々指定されている。なお楼門は県指定有形文化財として昭和41年に指定されている。なお金堂に関する資料は、「新修周防州娑摩郡国分寺金堂上梁文」(安永9年正月)「棟札写」(防州国分寺修復記録 寛永十九年)等の記録がある。

地図

画像

国分寺金堂 関連画像001

国分寺金堂 関連画像002

国分寺金堂 関連画像003

国分寺金堂 関連画像004

国分寺金堂 関連画像005