絹本着色釈迦三尊像
けんぽんちゃくしょくしゃかさんぞんぞう
萩市
県
有形文化財
室町時代
萩市椿東の東光寺所蔵である。
掛幅装。寸法は釈迦像が縦97.0cm、横44.2cmで、他の2幅もほぼ同寸である。
主幅の釈迦如来は正面向き、右手に蓮華を持し、左手を腹前に持し、唐草をほどこす袈裟(けさ)を着し、岩座上の蓮華に座している。文殊菩薩像は、右手に如意、左手に経冊をもって獅子上に座す。普賢菩薩像は、両手に経巻を開いて持ち、白象上に座している。三尊を通じて、きわめて簡明な像容をつくっている。表現は淡墨の下描線にしたがって肉身部は細い線、衣や獣身などは幅方の線をもって形態をつくり、部分的に朱、緑青などの彩色がある。このような図像と表現は室町時代の中期、16世紀前半頃の創作と見られる。
各幅に「永怡」の朱印がある。この永怡は室町時代に防長で活躍した雪舟流の絵師、雲渓永怡であろうと考えられる。
萩市の東光寺にあります。
寸法は、三つともほぼたて97cm、横44cmです。
まんなかに釈迦如来(しゃかにょらい)が置かれ、わきに文殊菩薩像(もんじゅぼさつぞう)と普賢菩薩像(ふげんぼさつぞう)がならべられます。
室町時代の1500年代前半ごろにつくられたとおもわれます。それぞれに「永怡(えいい)」という朱印があります。この永怡は、室町時代に山口で活躍した雪舟流の絵師雲渓永怡(うんけいえいい)と考えられています。
絹本着色釈迦三尊像
絵画
昭和53年12月22日(山口県教育委員会告示 第11号)
萩市大字椿東1647番地
宗教法人 東光寺
室町時代後期
三副対
【製作者】 雲渓永怡
絹本(粗絹~横1本、縦2本の撚り糸) 墨面淡彩 黄地
(1)釈迦如来像 縦97.0cm 横44.2cm
顔…淡墨で下描きをし、頭髪は淡墨彩で髪条を細筆で表現。髪際肉髻は濃い朱のぼかしを施す。眉上瞼・眸・唇の結んだ線に焦墨を使い、髭・鬚は焦墨でなぞる。
肉身部…黄土色・淡墨の細い線で下描き、やや幅太い淡墨線で描起し肉身の線に沿って淡い朱暈を施す。
衣裳…淡墨で下描き、太目の肥痩線で描起し、所々にかすれがあり筆意を見せる。上帛は唐草紋を白抜きで淡墨を施す。天衣は淡い緑青を施し、墨隈を施す。衣紋に沿って墨暈を施す。裙もまた天衣と同じ。裙の裾に上帛と同じ技法で唐草紋を描く。
架裟…上層部は白抜きに唐花をのこし、淡く墨彩を施す。細い条線をのこす。納衣・裙のへりは墨彩白抜きの唐草模様、衣には薄い緑青を施すか。
蓮…柔かで細い墨線で葉脈・花弁を描く。
岩座…短く薄い斧壁皴を用い立面・平面の表現を横びきの墨粉で巧みに処理する。
水条…肥痩のない線を用いて墨線を施す。
(2)文殊菩薩像 縦97.2cm 横44.4cm
獅子…淡墨の細線で形をとり、さらに焦墨で筆意を表わす。巻毛と体は淡い緑青を施して墨の濃淡で毛の群がる状態、体のしまる状態を表現している。
如意…墨彩・太目の鉄線描。
御経…細い墨線で作る。表紙を淡墨で平塗りする。
頭光…外を墨でぼかして円光の透明な感じを表現する。
体躯・獅子ともに丸味を十分に表現している。持物(御経・如意)・上帛・天衣・裙は写実的な処理をしている。力のある描線によって全体が破綻なくまとめられている。
上記のほかは(1)釈迦如来像に同じ。
なお、画幅右辺下に朱方朱字印一顆を捺し、「永怡」と読む。
(3)普賢菩薩像 縦92.0cm 横44.2cm
唇…輪郭に沿って濃い朱を施し、内は淡い朱、口を結ぶ線を細勁な焦墨で(へ)する。
像の耳裏…耳脈を細い墨線で描き、淡い墨の隈をいれる。
経巻をひろげるさまは、やや生彩を欠く。とくに巻子の描写は写実性を欠き、描線も弱い。
上記のほかは(1)釈迦如来像に同じ。
なお、画幅左辺下に朱方朱字印一顆を捺し、「永怡」と読む。
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