鰐口
わにぐち
柳井市
県
有形文化財
室町時代
上下39.4㎝、左右41.4㎝で、鼓面の径が37.6㎝という大きめの鋳銅製の鰐口。鼓面の中央に8枚ずつの蓮の花びらを重ね合わせた文様の撞座がありやや盛り上がっている。撞座の意匠や鋳造技術は確かなもので、防長地域における南北朝時代を代表する鰐口であると言える。
表面に刻まれた銘文から、この鰐口が、1351年(観応 2)、沙弥聖明(しゃみしょうみょう)が多くの信徒の願いを受けて、上野寺のために造ったものであることがわかる。上野寺は12坊を擁していたが、6坊を擁していた下野寺とともに「野寺」と総称され、その開基は平安時代にさかのぼると言われている。
現在、この鰐口を所蔵している福楽寺は、下野寺が擁していた福楽坊が改称されたものである。
上下39㎝、左右41㎝、鼓面の直径が38㎝の銅で造られた少し大きめの鰐口です。
表面に刻まれた銘文から、南北朝時代の1351年、沙弥聖明がつくったことがわかります。
鰐口 観応二年辛卯八月廿三日の銘がある
工芸品
昭和55年4月11日 (山口県教育委員会告示 第2号)
柳井市余田1112番地
宗教法人 福楽寺
観応2年(1351)
一口
沙弥聖明
【品質・形状】
鼓面径37.6cm、20~30cmが一般であるから、やや大型の鋳銅製鰐口である。肩幅及び鼓厚と鼓面径の比は、それぞれ1:3.9,1:2.4で、やや甲盛りがある。
鼓面は表裏とも、銘帯・外区・内区の3区からなり、それぞれ2条の隆起圏線で分かたれる。撞座は8葉重弁の陽鋳の蓮華文で、中央の中房には陰刻の9個の蓮子があしらわれる。中房と花弁の間には太い2条の隆起圏線がめぐるが、内側は八華形の弧線を描く。
胴部は両端に1条の隆起圏線がめぐり、肩の左右に両面鋳出しで断面半円形の耳、やや斜め下方につき出した円形の目、縁に2条の弧線をめぐらす薄い唇からなる。なお、目と唇は一段落を置いて接続する。肩の中央天頂部に長さ約6.5cmの湯口の痕があり、耳には鉄の吊鐶をつける。
総径(肩~唇) 39.4cm 耳高 4.5cm
総径(目~目) 41.4cm 耳幅 5.9cm
鼓面径 37.6cm 耳厚 2.0cm
鼓厚 15.6cm 目幅 1.5cm
肩幅 9.5cm 目径(断面)5.6cm
撞座径 9.3cm 唇出 1.0cm
口開 2.5cm 唇幅 1.1cm
表面の銘帯につぎの陰刻銘があるが、その彫りは深い。
「周防国玖珂郡与田保上野寺鰐口
観應貳年辛卯八月廿三日願主各 大工沙弥聖明」
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