鰐口
わにぐち
山口市
県
有形文化財
鎌倉時代
上下7.5㎝、左右8.2㎝、鼓面の径6.9㎝という極めて小さい鋳銅製の鰐口で、明治の初めに廃寺となった浄土宗周慶寺に伝えられていたもの。金メッキが施され、鼓面の径に比べて肩幅(2つの釣鐶の間)が広く、鼓の厚み(3.1㎝)が大きいため、重量感がある。面の中央に8枚の蓮の花弁と9個の蓮の実などで構成された文様の撞座がある。
面の表裏と肩にはしっかりした銘が刻まれていて、1261年(弘長1)に作られたことが分かり、山口県内にある鰐口の中では最も古いものである。耳と言われる釣鐶(つりかん)の下方の左右に斜め下に向かって突き出た目があり、これが鎌倉時代の特徴を表していると言われている。
鰐口は、寺社の軒下に吊り下げられているものを参拝者が打ち鳴らして拝む仏具であるが、本件は小さいので、胸の前に掛けるか手に持って打ち鳴らしたものであろうと考えられている。
上下が約8㎝、左右が8㎝で、鼓面の直径が7㎝という極めて小さいもので、明治の初めになくなった周慶寺に伝えられていた鰐口です。
鎌倉時代の1261年に造られ、山口県内にあるものでは最も古いものです。
鰐口は、寺などの前に突き出た屋根の下に吊り下げておき、お参りする人が布などを編んで作った綱で打ち鳴らしますが、この鰐口は小さいので、胸の前に掛けるか、手に持って打ち鳴らしたものであろうと考えられています。
鰐口 弘長元年辛酉六月の銘がある
(有形文化財)工芸品
昭和55年4月11日(山口県教育委員会告示 第2号)
山口市春日町8番地の2(山口県立山口博物館寄託)
弘長元年(1261)
一口
【構造・形状】
鼓面径6.9㎝の極めて小さい鋳銅作であるが、鍍金が施され、しかも鼓面径に比して肩幅及び鼓厚が大きいため、重量感がある。
鼓面は表裏ともに、外周に3条の細隆圏線をめぐらす縁、その縁の内方の銘帯、さらにその内方の中区(銘帯と中区を2条の細隆圏線が分つ)、そして中央に陽鋳の撞座という形状をとる。撞座は8葉の蓮華文で、中心部には蓮子が9個(中央に1個、周囲に8個)陰刻される。撞座径と鼓面径の比が1:3で、これは他例(普通1:4~5)に較べて、撞座の大きいことを示す。
胴には、まず上部左右に正円孔をうがつ吊手の釣鐶(片方は欠失)、すなわち耳があり、両面合せ式である。左右の耳の中間を肩というが、普通鋳型の合せ目があり、鋳造時の湯口の痕がのこっているものだが、きれいにさらって鍍金されたためか、その痕跡をとどめない。その耳の下方左右に突出した円筒形の目がある。目は胴の付根のところからやや斜め下に向かって突き出すところに時代的特徴があり、その側面は円形の中央上部を凹ませた猪目形(桃実形)をなす。
なお、遺存する一方の耳に吊紐がついている。
総径(肩~唇)/7.5㎝
総径(目~目)/8.2㎝
鼓面径/6.9㎝
鼓厚/3.1㎝
肩幅/1.9㎝
撞座径/2.3㎝
口開/0.3㎝
耳高/0.8㎝
耳幅/0.7㎝
耳厚/0.3㎝
目幅/0.3㎝
目径〈断面)/1.1㎝
唇出/0.3㎝
唇幅/0.3㎝
表裏の銘帯・中区及び肩につぎの陰刻銘がある。その彫りはやや深く、刻銘はしっかりして力強い。
〔表〕○中区
「諸行无常 是生滅法 生滅滅己 寂滅為樂」
○銘帯
「衆生稱念即除多却罪 命欲終時佛与聖衆自來迎接」
〔裏〕○中区
「南无阿弥陀佛 衆生稱念必得往生」
○銘帯
「其佛本願力 聞名欲往生 皆悉到彼國 自致不退轉」
〔肩〕 「弘長元年辛酉六月」
〔欠失する耳と口の間〕 「白蓮」
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