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文化財の概要

文化財名称

里村紹巴筆連歌学書(毛利家伝来本)

文化財名称(よみがな)

さとむらじょうはひつれんががくしょ(もうりけでんらいぼん)

市町

防府市

指定


区分

有形文化財

時代

安土桃山時代

一般向け説明

 里村紹巴(1527~1602)は、戦国時代の連歌の第一人者である。天下統一が進む中で、武士たちの間で連歌が流行し、実用的な連歌入門書が必要とされるようになると、紹巴みずからも連歌学書を著しており、また、紹巴以前の連歌師によって書かれた学書類も盛んに書き写されるようになった。
 本書は、紹巴と親しい関係にあった毛利氏が、彼からからゆずり受けたものである。いずれも紹巴の自筆で、奥には彼の署名と花押がある。特に、「連歌新式注」は原本であり、「宗祇初学抄」は写本(1593年)としては最も古い伝本である。

小学生向け説明

 里村紹巴(1527~1602)は戦国時代の連歌の名人です。天下統一が進む中で、武士たちの間で連歌が流行し、わかりやすい連歌入門書を手に入れたい人が増えました。そこで、心里村紹巴は、入門書をかいたり参考書を書き写しました。毛利氏は紹巴との関係が深く、その縁でゆずり受けたものがこの書です。いずれも本の終りに紹巴のサインがあります。

文化財要録

要録名称

里村紹巴筆連歌学書(毛利家伝来本)
 連歌式目 
 連歌新式注 
 宗紙初学抄 
 鵜之本末 

指定区分・種類

典籍

指定年月日

昭和59年4月10日(山口県教育委員会告示 第1号)

所在地

防府市多々良1丁目15-1

所有者

財団法人 防府毛利報公会

員数

(連歌式目)   一帖
(連歌新式注) 一帖
(宗紙初学抄) 一帖
(鵜之本末)   一冊

由来及び沿革

(1)連歌式目
 紙本墨書、列装帖、表紙は紺地に金泥で花鳥山水を描く。
 外題「連歌之式目」、内題「連歌新式追加并新式今案等」。
 見返しは、金泥の菊花文。料紙は鳥の子、紙数27丁、うち遊紙が巻首に1丁。本文は1面7行書き。
 本書は、二条良基の「連歌新式」に、その追加の合入れされたものと、さらに一条兼良の「新式今案」が合入されて一書となったものである。
 奥書に「右新式はいとまのおりおり筆のすさひにうつしをくもの也、天つ正しき九かへりの春の暮 紹巴(花押)」、さらに「此一冊者毛利大蔵大輔殿元康不慮被求出畢 奥書御所望之間染老筆者也 慶長三年仲春五日七十五歳法眼紹巴(花押)」とあり、天正9年3月に紹巴が筆写していた写本を毛利元康に贈与したのであるが、奥書を所望されたので慶長3年2月5日に改めて奥判したものである。
 ▲縦24.2㎝ 横16.4㎝
(2)連歌新式注
 里村紹巴註筆、紙本墨書、列帖装、表紙は黄蘖地に金銀泥で花に池水を描く。料紙鳥の子、紙数36丁、うち墨付32丁。遊紙巻首に1丁。巻尾に3丁。本文は1面9行書き。外題「連歌新式注」、内題(端作り題)「連歌式目抄」。
本書は「連歌新式追加并新式今案等」に関する紹巴註釈書であり、奥書に「此一冊者毛利七郎兵衛尉殿元康依御所望染老筆者也 文禄三年名月後日法眼紹巴(花押)」とある如く、毛利元康のために作った連歌学書で、紹巴の自筆原本である。
 ▲縦24.1㎝ 横16.6㎝
※(1)(2)は溜塗の同じ箱に納まる。箱書「紹巴筆判形有之 連歌式目連歌新式註 二冊」
(3)宗祇初学抄
 里村紹巴筆、紙本墨書、列帖装。表紙は金銀泥で池水草木を描く。見返しには金銀泥・砂子・野毛で、装飾を施す。料紙は鳥の子で、紙数は32丁、うち墨付29丁、遊紙巻首に1丁、巻尾に2丁。本文は1面9行書き。外題「宗祇初学抄」(題簽は左肩に貼布)。内容は、発句に詠むべき題材・詞など、後世の季題季語を12ケ月にわけて注し、さらに四季を各月にわたって、その移り変わる風物・情緒などを古歌や註歌を引用しながら、具象的に解説して発句詠吟の参考の質としようと試みたもの。最後に初心初学者のための詠吟の心得、故実作法、学ぶべき風体、稽古などについて教示し、さらに追加四ケ条を加えて「宗祇在判」を署名している。
 奥書には「此抄者藝州御本所御哥道御熱心之間染老筆者也 文禄二年仲冬望 法橋抄巴(花押)」てあって「宗祇初学抄」の写本としては現在知られている最も古い伝本である.箱書「紹巴自筆 宗祇初学抄一冊」
 ▲縦24.0㎝ 横17.4㎝
(4)鵜之本末
 里村紹巴筆 紙本墨書 袋綴冊子装茶褐色の表紙。見返し、本文共紙。料紙は薄様、紙数44丁、うち遊紙巻首に1丁。本文1面11行書き。
 外題「鵜の本同末」(題簽は左肩に貼布)(端作り題)「愚秘抄」。
 奥に、紹巴が「此鵜之本同末毛利大蔵大輔殿元康依御所望一覧畢 于時慶長五年卯月上旬 紹巴(花押)」と奥判を記している.
 ▲縦25.8㎝ 横19.8㎝

参考情報

その他参考となる事項
(1)里村紹巴(1524-1602)
 宗牧、宗養亡き後、安土桃山時代から近世へかけての連歌壇の第一人者で、その著作は頗る多い。豊臣秀吉に重用されたのを初め、細川幽斉、毛利氏に親しんだ。
(2)毛利元康(1560-1601)
 毛利元就の8男、兄元秋(元就の5男)を襲い、厚狭毛利家の祖となる。
(3)毛利家旧蔵の紹巴関係品
(財)防府毛利報公会に蔵される御道具帳(近世期)によると以下の紹巴関係品が毛利家に旧蔵されていたことがわかる。
・毛利元康「九代抄」1幅 (奥書 外題紹巴)
・紹巴詠歌懐紙 1通
・紹巴米年之歳旦 1通
・紹巴書状 2通
・紹巴昌叱連書 1通
・三部抄 1冊(紹巴奥書)
・紹巴発句帖 一冊
・紹巴藤孝昌叱三吟連歌 1軸
・紹巴発句懐紙 1軸
・両吟千向 一冊 (紹巴・昌叱筆)

地図

画像

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