沖ノ山出土の中国古銭及び埋納甕
おきのやましゅつどのちゅうごくこせんおよびまいのうかめ
宇部市
県
有形文化財
弥生時代
江戸時代の1740年(元文5)、宇部沖ノ山の海岸で発見された銅錢のつまったかめである。このかめは弥生時代中期末(紀元前1~1世紀)のもので、なかに納められていた銅錢は中国の新(西暦8~23年にあった国)時代につくられた半両錢17枚と五銖錢78枚である。このように新の銅錢のみが95枚も出土したことは国内では例をみない。西暦1世紀前半から中期にかけて、朝鮮半島から北九州をへてもたらされたと考えられている。
発見されたかめは、宇部地域を治める毛利家家老の福原家に献上され、同家に伝来するところとなった。現在は宇部市立図書館に保管されている。
今から260年前の江戸時代の中ごろ、宇部・沖ノ山の海岸で、中国の古い銅錢のつまった「かめ」が発見されました。かめは、今から2000年前の弥生時代中ごろのもので、中に納められていた銅錢は、2000年前の中国・新の時代につくられたものです。新の銅銭が95枚もまとまって出土することは珍しい事例です。
中国~朝鮮~北九州~宇部と銅錢(文化)の流れを示す貴重な資料です。
沖ノ山出土の中国古銭及び埋納甕
中国古銭(半両銭17枚及び五銖銭78枚)
無文土器系甕形土器
付 半両銭・五銖銭元文5年掘出覚
考古資料
昭和60年10月29日(山口県教育委員会告示 第4号)
宇部市琴芝一丁目1-33(宇部市立図書館寄託)
財団法人 渡辺翁記念文化協会
(中国古銭) 九五枚
(無文土器系甕形土器) 一個
(半両銭・五銖銭元文5年掘出覚) 一通
【品質・形状及び寸法】
(1)無文土器系甕形土器(ほぼ完形品)
器高 20.56㎝
口径 12.45㎝
底径 8.12㎝
(2)半両銭 四銖半両銭(径2.35㎝~2.45㎝)
五銖銭―穿上横文五銖銭(径2.4㎝~2.6㎝)
赤側五銖銭(径2.2㎝~2.4㎝)
穿下半星五銖銭(径2.4㎝)
材質 銅製
宇部市立図書館(宇部市琴芝一丁目1-33)
(発見とその後の経緯)
宇部市の南西、現在島・鵜の島などの地名の残る一帯は、昔は小島が浮かび江戸時代には沖の山と称する砂嘴が延びていて入海になっていた。
江戸期には厚狭郡小串村と呼ばれ福原家の給領地であり、17世紀中頃までにはすでに入海は干拓が徐々に進み沖の山は陸つづきになっていた様子である。
発見の状況を記す福原家文書によれば元文五年(1740)小串村嶋の百姓市左衛門という者が沖ノ山の松浜にて銭のつまった甕を発見している。
市左衛門は庄屋を通して邑主福原元貞公にこれを献上し、以後この甕と銅銭は福原家の家宝として代々受け継がれ、現在(財)渡辺翁記念文化協会の所蔵となり、寄託されて宇部市立図書館に保管されている。
昭和43年宇部市から刊行された宇部市域遺跡群学術調査研究報告『宇部の遺跡』で佐伯敬紀・中村博之両氏によって初めて学術資料として紹介された。
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