毛利隆元関係資料
もうりたかもとかんけいしりょう
防府市
県
有形文化財
室町時代
毛利元就の長男で、武事だけでなく文事をも嗜好した毛利隆元を偲ばせる遺品。黒漆を盛り上げて塗った本小札を白・紅・縹(薄い藍色)の色糸で威(小札を横長に綴ったものを上下につなぐこと)した「縹糸胸紅白威胴丸」や、剣鍬形の付いた六十二間星兜(兜鉢のはぎ合わせ部分を頭の大きい鋲で留めている)などは、戦国武将としての隆元を偲ばせる。扇子や絵画は、文人としての隆元を偲ばせる。自筆の「白鷺図」や「枇杷に鷹図」は、雪舟の画風を継いだ画学修行の一端を示すものとして、文化史的にも興味深いものである。
隆元は、幼くして大内義隆のもとに人質として出され、山口の築山館で元服した。のちに毛利元就の嫡男として各地で奮戦したが、1563年(永禄6)8月、出雲出陣の途中で急逝し、元就を嘆き悲しませた。
戦国武将としてだけではなく、文化面にも優れていた毛利隆元(もうりたかもと)ゆかりの品です。
「縹糸胸紅白威胴丸(はなだいとむねこうはくおどしどうまる)」や「六十二間星兜」などは戦国武将としての隆元を、扇子や絵画は文化人としての隆元をしのばせるものです。
「白鷺図」や「枇杷(びわ)に鷹図」は、雪舟の画風を継いだ画学修行の一部を示しています。
隆元は、幼いころ大内義隆(おおうちよしたか)のもとに人質として出され、山口の築山館で元服式をしています。その後、毛利元就(もうりもとなり)の長男として各地で戦いましたが、1563年(永禄6)8月、出雲出陣の途中で急に亡くなり、父元就を悲しませました。
毛利隆元関係資料
縹糸胸紅白威胴丸 兜・大袖・小具足・弓籠付 付 具足櫃
扇子
紙本墨画毛利隆元自画像
紙本淡彩白鷺図
紙本淡彩枇杷に鷹図
紙本墨画柳に燕図
歴史資料
昭和59年4月10日(山口県教育委員会告示 第1号)
防府市多々良1丁目15-1
財団法人 防府毛利報公会
(縹糸胸紅白威胴丸 兜・大袖・小具足・弓籠手付) 一領
(具足櫃) 一合
(扇子) 一握
(紙本墨画毛利隆元自画像) 一幅
(紙本淡彩白鷺図) 一幅
(紙本淡彩枇杷に鷹図) 一図
(紙本墨画柳に燕図) 一捲
縹糸胸紅白威胴丸について
・重要文化財毛利家文書に以下の文書がある。
・修理目録によれば、昭和11年3月~6月、京都博物館顧問重要美術品等調査委員関保之助氏指導監督下、名古屋市東区東魚町の具足師三浦助市氏の手で修理されたことがわかる。
【品質・形状・法量等】
(1)縹糸胸紅白威胴丸 兜・大袖・小具足・弓籠手付
黒漆盛上の本小札、威毛は白・紅・縹糸。仕立は胴の長側5段で立挙3段。草摺は8間6段下り。冠板に梨地に藤丸紋を蒔絵する。
兜は62間星兜鉢で、2段、吹返は獅子蒔絵、立物は剣鍬形。
頬当は鉄、黒漆塗り、垂2段を付す。籠手は篠金の輪鎖繋ぎ、手甲に藤丸紋蒔絵を施す。大袖は垂6段毛引威、冠板に藤丸紋を蒔絵する。佩楯は黒漆革平札の5段下り。
弓籠手は、唐織で花葉文を刺繍であらわし、茶緒が付く。
▲胴高34.8㎝ 草摺高32.5㎝ 兜鉢径(前後)25㎝
(附)・具足櫃
笈形、柿渋塗。貼紙書「隆元公 御甲冑」。
▲高80.7㎝ 前上幅49.8㎝ 前下幅57.5㎝ 奥行(下)49.3㎝
(2)扇子
銀砂子紙に、芦を墨描した上に、以下の隆元自筆詠草1首が墨書される。10橋。
「ちらす/なよ/しのゝ/は草/の/かり/にても/露かゝる/へき/そての/うへ/かは」
▲長32.0㎝
(3)紙本墨画毛利隆元自画像
紙本墨画、掛幅装。直垂、折烏帽子の姿で左腰に腰刀を差し、右手に扇子を持ち、面を向って右方に向け、上畳に坐す。直垂には丸に一字三星紋が描かれる。
面貌のところに紙形が貼り付けられており、本図が下絵であることを示す。
・箱蓋表墨書「隆元様御影 御自畫」
・未ノ四月入日記「一、常栄様御影」
以上壱幅
伯御自筆
(後略)」
▲縦83.5㎝ 横41.5㎝
<表装>縦170㎝ 横61㎝
(4)紙本淡彩白鷺図
紙本淡彩、掛幅装。
画面中央に流水に立つ白鷺を描く。その背後には岩と水草を前面に梅枝と芦をそれぞれ配す。白鷺は白土を用い、鷺の目には朱を施すほか折々に着彩が見られる。
〇箱蓋表墨書「隆元様御筆 鷺御繪 」
〇文化九申正月入日記「一、隆元様御筆壱幅
但鷺岩ニ水草(後略)」
▲縦36.0㎝ 横48.5㎝
<表装>縦118㎝ 横60.7㎝
(5)紙本淡彩枇杷に鷹図
紙本淡彩、掛幅装。
画面下方に果実を持つ枇杷、笹、岩を配し、岩上に鶉がうずくまり、この鶉を空中より狙う鷹を画面上方に大きく描く。裏から絹を補いてあてて補紙をのせ、補彩するところが見られる。
〇箱蓋表墨書「隆元様御筆鷹之御繪 一幅」
〇文化九申正月入日記「一、隆元様御筆壱幅
但鷹之御繪(後略)」
▲縦95.7㎝ 横45.6㎝
<表装>縦178.7㎝ 横47.5㎝
(6)紙本墨画柳に燕図
紙本墨画、裏打装。
画面下方斜めに柳の大幹を描き、その幹上に双燕をあらわす。中央左右には柳葉がそよぐ。
〇紙背墨書「セうゑい様
鳥ノ繪」
〇文化九申年正月入日記「一、隆元様御繪壱幅 但柳ニ鳥(後略)」
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