7月20日(金)に開催された国の文化審議会は、全国の209件の建造物を新たに登録文化財有形文化財(建造物)とするよう文部科学大臣に答申しました。県内からは、「赤間神宮水天門及び回廊」(下関市)、「白石家住宅主屋」、「白石家住宅呉服蔵」、「白石家住宅道具蔵及び食物蔵」(防府市)、「松室大橋」(周南市)、計5件もの登録が答申されました。正式な登録は、まだですが、ほぼ登録確定だと考えてよいでしょう(文化審議会の答申と正式な登録との違いについては、いつか書きます)。
これで、県内の登録文化財有形文化財(建造物)は、101件となる見込みです。最初の登録が平成8年(1996)の明倫小学校本館、萩駅舎ですので、約22年かけて101件の建物が登録されたことになります。700件以上が登録されている大阪府に比べればささやかな数字ですが、数字の上では、一つの区切を越えたことになります。
ちなみに、登録第1号は、明倫小学校本館(萩市)、第50号は中野家住宅主屋(下関市)です。第100号は、まだ確定していませんが、答申の順番をもとに機械的に割り振られる、というこれまでの例を考えれば、「白石家住宅道具蔵及び食物蔵」になる可能性が高いと思っています。
登録番号は、県ごとに通し番号となっているため、何らかの理由で登録を抹消された番号は、欠番となります。例えば、県内では、第3号が欠番となっています。この番号は、宇部市渡辺翁記念会館に割り当てられていましたが、平成17年(2005)、重要文化財に指定されたため、登録が抹消され、登録番号も欠番となりました。
県内の登録有形文化財(建造物)には、住宅、寺社仏閣、官公庁舎のほか、橋梁、隧道(ずいどう)(トンネル)などがあり、国の示す登録対象をほぼ網羅しています。「建造物」と名前がついていますが、実際には、土木構造物(橋梁、隧道など)や工作物(門など)も含まれています。その中で、登録件数が多いのは、上水道関連の施設です。101件のうち12件、実に1割以上を占めています。
早くから上水道の敷設が進められたため、古い年代の施設が多くあったことに加え、各施設の機能、デザインも優れていたことが、登録件数の多さにつながったとみられます。実際、まだ現役の水道施設として運用されているものも多数あります。
登録件数が100件を超えることに合わせたわけではありませんが、今年度から、文化財データベース「山口県の文化財」に「登録有形文化財(建造物)」を追加することになりました。今は、4件だけですが、月に数件ずつ、約2年かけて全件を掲載する予定です。
検索プログラムの仕様上、「登録」とすべき見出しが「指定」となっているなど、改善すべき点も見当たりますが、少しずつ、着実に作業を進めますので、どうかよろしくお願いします。
なお、県内の代表的な登録文化財の説明や、登録文化財制度の詳しい内容については、山口県文化財愛護協会が刊行している『山口県文化財』第48号で詳しく解説されています。興味のある方は、こちらをご一読ください。
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