平成30年11月30日(金)、祖生柱松行事保存会(そおはしらまつぎょうじほぞんかい)の藤本昌範会長から浅原教育長に、平成30年度地域文化功労者表彰(文化財保護)受賞の報告がされました(下の写真)。
同保存会は、永年にわたり、国指定重要民俗文化財「周防祖生の柱松行事」の保存と継承に尽力し、地域文化の振興に貢献したとして、9月30日(日)の文化庁創立50周年記念式典の中で、被表彰者代表として登壇、林芳正文部科学大臣(当時)より表彰状を授与される予定でした。しかし、おりしも台風24号が日本列島に接近。やむを得ず文化庁は式典を中止としました。そこで、11月22日(木)に、代替措置として文化庁において受賞式(非公開)が開催され、宮田文化庁長官から藤本会長へ授与があり、その後、和やかな雰囲気の中、村田文化庁次長も加わって懇談会が行われたとのことです。
さて、この行事について少し説明しますと、享保19年(1734年)には柱松行事が牛馬安全の神事として始められたと「新宮神社社記」に記述されています。毎年、中村(8月15日)、山田(8月19日)、落合(8月23日)の3地区で、夏の火祭りとしておよそ280年余り、戦時中の困難な状況のもとでも、現在まで途絶えることなく連綿と伝承、保存されてきたすごく歴史と伝統のある行事なのです(下の写真)。
柱松行事
浅原教育長との対談の中、藤本会長は、「松でつくった松明を20mの長さの柱の上に投げ上げて火を点ける神事。昔は火が点くまで3日3晩投げ続けたこともあった。現在も子や孫が行事を引き継ぎ続いてはいるが、やはり後継者不足は否めない。」と語られていました。
実は藤本会長は元県立高校の校長。浅原教育長とは旧知の仲です。わずか30分の対談ではありましたが、お二人は現職の時のことも織り交ぜながらとても楽しそうに昔話にも花を咲かせていました(下の写真)。
現在、過疎化、少子高齢化、核家族化等に伴い、県内に所在する未指定も含めた無形民俗文化財が継承者不足等により存続の危機に陥っています。このため、これまでの継承のやり方ではなく、これからの時代にふさわしい文化財の総合的な視野に立った、地域一体での保存・活用に繋げていく必要があることから、国も文化財保護法の改正を行いました。このことを踏まえ、県も市町もこれまで以上に連携し、地方文化財行政の推進力強化を図ることで、貴重な文化財を次の世代に残していかなければならないと考えています。
その他、本年度文化財保護に係る表彰を受けた方や団体を紹介します。
【平成30年度叙勲(文化財保護功労)】
秋 德重壽美雄さん(山陽小野田市)瑞宝双光章 元山陽小野田市文化財審議会会長
春 小川 國治さん(山口市) 瑞宝中綬章 元山口県文化財保護審議会会長
【平成30年度地域文化功労者表彰(文化財保護)】
祖生柱松行事保存会(会長 藤本 昌範さん 岩国市)
【平成30年度山口県選奨(芸術・文化・スポーツ功労)】
南 敦さん(光市) 元柳井市文化財保護審議会会長
岩政 幹雄さん(柳井市) 山口県銃砲刀剣類登録審査委員
厚東郷土史研究会(会長 小野田 智文さん 宇部市)
【平成30年度山口県教育功労者表彰(学術振興及び文化財保護)】
田中 誠二さん(山口市) 山口県文化財保護審議会会長
須山 義厚さん(萩市) 山口県文化財保護管理指導員
前田 時博さん(美祢市) 元美祢市文化財保護審議会会長
秋山 伸隆さん(廿日市市)山口県文化財保護審議会委員
徳山地方郷土史研究会(会長 原田 茂さん 周南市)
みなさん、本当におめでとうございます。(S)
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