山口県の文化財

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2021/11/25 【ニュース】国選定重要文化的景観について

 令和3年(2021)10月11日に、岩国市の「錦川下流域における錦帯橋と岩国城下町の文化的景観」が、山口県初の重要文化的景観として選定されました。そこで今回は、重要文化的景観の制度について紹介します。


 文化的景観とは、その地域の気候や地形、地質等の自然条件に適応しながら生業をたて、生活を営む中で、長い年月をかけて形成されてきた暮らしの景観です。生活する中で、身近であるがゆえに、その価値に気づかれることは少なく、失われつつありました。

 こうした中、これらの文化的景観を保護するため、平成17年(2005)に文化財保護法が改正され、文化財としての価値を明記し、特に重要なものが重要文化的景観として選定されるようになりました。これまでに棚田や水郷をはじめ、漁村や城下町に至るまで、幅広い景観地が選定され、今回の「錦川下流域における錦帯橋と岩国城下町の文化的景観」が全国で71番目の選定です。


 重要文化的景観への選定には、保存調査により当該文化的景観の重要性を明らかにするとともに、以下の4つの条件を満たす必要があります。


・景観法に基づく景観計画区域又は景観地区の中にあること

・文化的景観保存活用計画を定めていること

・景観法やその他の法律に基づく条例で、保存のために必要な規制を定めていること

・文化的景観の所有者又は権原に基づく占有者の氏名・名称と住所を把握していること


 文化的景観保存活用計画とは、保存調査を前提とし、当該文化的景観の保存と活用に関する基本方針を取りまとめたものです。当該文化的景観の位置及び範囲、保存と活用に関する基本方針だけでなく、重要な構成要素や保存のために必要な体制に関する事項等を定める必要があります。保存活用計画の策定にあたっても、各市町の景観計画との整合を図る必要があり、行政内では文化財保護部局だけでなく、景観を扱う都市計画部局等との連携も不可欠です。

 「錦川下流域における錦帯橋と岩国城下町の文化的景観」の選定にあたり、岩国市で行った取組みについては、岩国市HPをご覧ください。


 上記の保存調査や保存活用計画の作成には、国の補助金を活用することができます。選定後についても復旧、修理、修景やガイダンス施設等の整備、説明版の設置等が補助金の交付対象となりますので、重要文化的景観に選定されることで、補助金を活用しながらまちなみの整備・活用を進めていくことができます。(t)