前回の記事(「県文化財指定の答申まとまる~新指定文化財の紹介①~」)の続きをまとめようとしていたところ、3月4日に『山口県報』で告示がなされ、2件の文化財が正式に指定されました。
文化財指定の担当として、漸くここまでたどり着けたと喜ばしく思う反面、県民の皆さんの宝、地域の象徴として、後世に保存・継承していかなければならない県指定文化財が増えたことに大きな責任も感じています。
昨年、2021年は、“あること”からちょうど150年の年でした。このタイミングを逃さないように追加指定に向けて尽力しましたが、コロナウイルス感染症の感染拡大等の影響もあり、年を越えての追加指定となってしまいました。
150年・・・。そう、山口県が誕生するきっかけとなった廃藩置県から150年だったのです!!
今回の追加指定は、昭和62年(1987)に県文化財(建造物)に指定された県庁の敷地内に残る旧山口藩庁門に、土塀と土塁及び石垣を追加指定したものです。
旧山口藩庁門と土塀
土塀は、旧山口藩庁門に接続しており、藩庁門と同じ明治3年(1870)に建設されたものであることが明らかになりました。
土塁と石垣は、幕末・明治維新期という時代背景を反映し、砲撃戦を想定した近代城郭の一端を留めたものであり、幕末に萩から山口に藩庁機能が移って来た(これを「山口移鎮」と言います)後に、現在の県庁の敷地に区画された場所に、山口藩庁が置かれたことを示すものです。
土塁
石垣
①山口県の成り立ちを示す文化財建造物群である。
②土塀や土塁及び石垣は、旧藩庁門と同様、幕末維新期に建設されたものであり、早急な整備を必要とした当時の情勢を窺うことができる。
③土塁及び石垣は、近代城郭としての縄張りを示している。
④土塁及び石垣で区画された現在の県庁の敷地には、幕末維新期の藩庁及び明治期の県庁の面影を残す「旧山口藩庁門及び土塀 付 土塁・石垣」、大正期に建設された国重要文化財「山口県旧県庁舎及び県会議事堂」、現在の県庁舎や議会棟等が残されており、この区画が、幕末維新期から現在まで、防長両国、山口県の政治の中心として機能し続けているという歴史的重層性を示している。
土塀と土塁及び石垣も旧山口藩庁門と一体となり、以上のような文化財的価値を有していることから、旧山口藩庁門に土塀と土塁及び石垣を追加指定しました。
ただし、土塁と石垣は、文化財の種別としては「建造物」に分類できないものでしたので、「旧山口藩庁門及び土塀」に付(つけたり)指定しました。付指定とは、指定文化財の履歴や価値等を補完するもので、指定文化財と同一に保存していくことが望まれるものを明らかにしておく行為です。
この機会に幕末維新期から現在までの山口県の歩みに思いを馳せていただければ幸いです。 (gn)
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