山口県の文化財

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2024/12/24 【ニュース】文化財情報の更新(登録記念物の追加、県指定天然記念物「若月家の臥竜松」の削除)

 本ホームページ内の「指定文化財の検索」ページに登録記念物の項目を新設し、これまで登録された「常盤公園」、「山水園庭園」、「松田屋ホテル庭園」、「漢陽寺庭園」の4件を追加しましたので、お知らせします。
 また、今年3月に県指定天然記念物の指定を解除した「若月家の臥竜松」については、解除に伴い概要紹介ページを削除することとなりました。一覧から削除することにはなりますが、トピックスの中で記録が残るよう、指定及び解除の概要を以下に記します。

 「若月家の臥竜松」は、防府市右田地区の若月家の前庭にあるゴヨウマツで、江戸時代初期に植えられたものと伝承されています。本樹は、樹齢300~400年と推定される老樹であり、伏した竜のように伸びた約32mの横枝、その横枝から直上する丁寧に手入れが施された笠がすばらしいとされ、また、横枝の下部ところどころから生じているコブ状の突起物に学術上の価値があることから、平成2年に県指定天然記念物に指定されました。(本ホームページでは、以下のように説明していましたが、県指定解除に伴い削除しています。)

【ニュース】文化財情報の更新(登録記念物の追加、県指定天然記念物「若月家の臥竜松」の削除)

若月家の臥竜松 文化財の概要ページ


【ニュース】文化財情報の更新(登録記念物の追加、県指定天然記念物「若月家の臥竜松」の削除)

指定当時の若月家の臥竜松


 所有者は、毎年、剪定・防虫処理等を行い、文化財の維持・管理に努めてこられましたが、令和4年12月、急激に枯れが進行しました。令和5年1月~7月に専門家を含む関係者で計5回の現地確認を行ったところ、枯れの原因は特定できませんでしたが、マツノマダラカミキリムシ(以下、カミキリムシ)媒介によるマツノザイセンチュウ(以下、センチュウ)の感染で樹勢が衰退したところに、台風による塩害等が影響し枯れた可能性が高いとの結論にいたりました。センチュウは、体長約0.6㎜~1㎜で、カミキリムシの後食時や産卵時にマツに感染し、マツの柔細胞を食べながら成長・増殖する生物です。センチュウに侵入されたマツでは、根から水を吸い上げる能力が低下し、1~2か月後にはこの機能が停止するため、急激に枯れてしまうそうです。現地確認の際、樹勢回復の手立ても検討しましたが、すでにほぼ全体が枯死していることから、今年3月に指定を解除しました。
 臥竜松が枯死したことは非常に残念ではありますが、十数年前、当時の所有者が挿し木によって個体を増やしており、臥竜松と同じ遺伝子を持つ20本程の松が生存しています。「臥竜」の形状は失われましたが、これらの個体が末永く残っていくことを願います。