一般向け 説明 | 松田屋ホテル庭園は、大正初期に山口市湯田温泉に造られた池泉庭園である(登録範囲2,510.11㎡)。松田屋ホテルは、延宝3年(1675)に松田屋旅館として創業し、幕末の動乱期には、志士たちが逗留したことでも知られる。 現在の敷地内には、北から萩の棟(はぎのまとう)、山縣有朋命名の快活楼(かいかつろう),伊藤博文命名の群巒閣(ぐんらんかく)の3棟の建物が並んで建ち、建物群の東に面して庭園が広がる。庭園南東隅には、高さ約4mの三段の滝石組が造られ、井戸から汲み上げた温泉水が滝を流れ落ち、庭園中央部にある半島を大きく回り込んで快活楼前の池泉へ注ぐ。水辺の護岸には、低めの石が組まれ、随所に石燈籠を配置し、流れや池泉には石橋、木橋が架かるほか、沢飛石も打たれ、園内を歩いて回ることができる。周囲は、シイ、カシを植えて目隠しとし、庭園内には、モッコクやヤマモモ、マツが植栽され、とてもよく手入れされている。 当初の状態から手が加えられているところもあるが、大正期に整備された当時の状態を現在までよく伝えており、山口県の造園文化の発展に寄与した意義深い事例である。 |