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2019/08/01 【文化財小話】平成30年度に新たに9つの遺跡が発見されました

 皆さんはご存じでしょうか? 毎年、全国のあちこちで遺跡が見つかっていることを・・・。
普段の生活で遺跡を身近に感じることはほとんどありませんが、遺跡は皆さんの身近な地下に眠っています。山口県でも、毎年のように新たな遺跡が発見されています。昨年度には県内9箇所で新たな遺跡が発見されました。
 ※文化財保護法で守られた遺跡を「周知の埋蔵文化財包蔵地」といいますが、ここでは皆さんお馴染みの呼び方である「遺跡」を用います。

 遺跡が発見される経緯については、「文化財小話 遺跡を見つける」(2018年12月5日掲載トピックス)ですでに触れられているので詳細は省きますが、簡単に言えば、地下を掘削する工事などがきっかけで遺跡が見つかります。
 普段の生活で遺跡を身近に感じることはなくとも、宅地造成・下水道工事・道路工事などは皆さんの生活範囲内でもよく見かけることでしょう。地下を掘削するような工事が頻繁だと遺跡が見つかる確率も高くなるので、毎年のように新たな遺跡が発見されるのです。

 遺跡が発見される確率は、遺跡の密度にも左右されます。今でも、人口が密集するところもあれば、人が少ないところもあるように、遺跡も密度が高いところと低いところがあります。密度の高い遺跡が眠っているところを掘れば、「どこを掘っても遺跡が見つかる」という感覚になり、密度の低い遺跡が眠っている場所で工事をすれば、遺跡が発見される確率は大きく落ちます。
 ※密度が低くても重要な遺跡(銅鐸発見など)があるので要注意

 また、遺跡が発見される確率は開発の規模にも左右されます。密度の高い遺跡でない限り、小規模範囲の工事で遺跡が見つかる可能性は低く、広大な範囲を掘削すれば遺跡にあたる可能性は当然高くなります。山口県の場合、数ヘクタールに及ぶほ場整備工事が盛んに行われているので、毎年のように遺跡が発見される機会があるのです。
 平成30年度に発見された遺跡9件のうち、7件がほ場整備工事予定地を試掘して見つかったものです。この10年間を通してみても、毎年数件以上の遺跡が新たに見つかっています。また、すでに知られている遺跡でも、さらに範囲が拡大することもしょっちゅうです。
なお、平成24年度には29件、平成29年度には26件と、特にたくさんの遺跡が見つかっています。
これはどちらも田布施町内のほ場整備工事がきっかけで発見されたものがほとんどです。田布施町は弥生時代、古墳時代、鎌倉~室町時代の遺跡が集中する、遺跡の密度が高いエリアなので、ここで広範囲を掘削する工事が重なると、遺跡が新たに発見される確率は高くなるのです。

 中には重要な発見もあります。平成22年度に新規発見され、平成23~24年度に田布施町教育委員会と山口県埋蔵文化財センターが発掘調査を実施した尾尻遺跡(田布施町宿井)では平安時代の銅印が出土し、現在は県指定有形文化財となっています。

 多くの場合、工事などで遺跡が壊されるので、その前に後世に伝えるべき記録をとることを目的として発掘調査は実施されます。文化財保護の観点からいえば、現状のまま後世に伝えるのがベストなので、発掘調査を実施するということは次善の策ということになります。しかし、我々が生活していくうえで、地下を掘削するような工事を全く行わずに(遺跡を壊さずに)生活環境を整えていくのはほぼ不可能といっていいでしょう。
 これからも、遺跡は毎年のように発見され、そして発掘調査が実施され、時々世間の注目を浴びるような発見がされることでしょう。 (n)



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