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2021/07/15 【文化財小話】新発見の「於福金山遺跡」の紹介
みなさんは、県内にいくつ周知の埋蔵文化財包蔵地(以下「遺跡」)があるか知っていますか?答えは2021年3月末の時点で3,176箇所です。そして、この数は毎年新しい遺跡の発見とともに増えていきます。
炉跡や床を張り直した跡が確認された試掘坑
昨年度新たに発見された遺跡の中から、次の遺跡を紹介します。
遺跡名:於福金山遺跡(おふくかなやまいせき)
場 所:美祢市大字於福下字金山
時 代:奈良~平安・近世
種 類:生産遺跡(ものづくりに関する遺跡)
発見方法:試掘調査
湿地帯に廃棄された大量のからみ
遺跡の所在する於福は、美祢市の最北端に位置しています。古代より交通の要所として栄え、古代の駅が置かれていました。また、美祢市一帯は古くからの採銅地帯として知られており、於福でも昔から銅鉱採取が行われていたと考えられています。銅含有率の高い良質の鉱石が多くとれ、古くは銅を、その後は鉄を生産しました。明治時代以降になっても各所で鉱山が営まれ、昭和20年代まで操業していた鉱山もありました。したがって、於福地区には多くの旧坑や製錬跡が分布しています。ただ、そのほとんどが未調査のため、開坑の古い鉱山については伝承に頼る部分がほとんどです。今回遺跡が発見された場所も、杉林の中に数カ所の石垣や石組の跡があることや、からみ(鉱石から銅や鉄を採取する工程で出る不純物=ごみ)が採集されることから、時期などの詳細は不明ですが製錬を行っていた可能性が以前から指摘されていました。
遺跡発見のきっかけは、令和2年に県教育委員会が実施した試掘調査です。調査の仕方は、重機を使い対象地内に数十カ所のトレンチ(長さ2m、幅1m程度の坑)を開けて埋蔵文化財の有無を調べる方法です。その結果、谷筋の周縁部にあたる微高地のトレンチから、製錬を行ったと思われる炉跡や焼け締まり、床を張り直した跡などが確認されました。同時にそのトレンチからは、古代(奈良~平安時代)の須恵器が出土しました。これにより、古くからこの地で鉱石から銅を取り出していたことが判明しました(遺跡発見)。また、調査区内を流れる小川の周辺には大量のからみが分厚く堆積(厚さが2mを超える場所も)していることも確認されました。古代の遺構を覆うように廃棄されたからみが堆積している場所も確認されたことから、古代だけでなく、その後も製錬を行っていた時期があることも分かりました。(k)
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