一般向け 説明 | 縦30.5㎝、横11.9㎝、厚さ2.0~0.9㎝の不整形の板木で、材はスギかヒノキと考えられます。 中央に三重宝塔、宝塔中央下部に梵字一字、上部左右に仏像、左側の屋根の間にそれぞれ梵字一字が描かれています。右側はおよそ2㎝にわたり木目に沿って欠失しているため、詳細は不明ですが、残存状況から左右対称に仏像や梵字が刻まれていたものと推測されます。また、背面には、「安養寺」の墨書を読みとることができます。 安養寺は、東大寺再建のため重源上人(1121~1206)が周防国における別所として建立した寺の一つで、現在の法光寺(徳地町大字鯖河内)にあたります。江戸時代に書かれた『風土注進案』の安養寺の項に、上人自作の檜のおとし板とされる多宝塔板の記述が見られ、本件はこれに該当するものと考えられます。 鎌倉時代後期の作と考えられ、中世の板木のごくまれな現存例として歴史的価値が高いものです。 なお、妙寿院に伝存するのは、近世以降安養寺との間に住職の交流があったことによるものと思われます。 |