一般向け 説明 | 田布施町宿井の町道の傍らに「地蔵のハゼノキ」として親しまれている大木がある。 樹高は約11m、目通り幹囲(地上150㎝の幹周囲)は393㎝、根回りは593㎝。四方に均等に枝を延ばしており、枝張りは東西南北各約7mで、根元に大きな空洞があるものの、樹齢240年といわれる県下でも希に見るハゼノキの巨樹で、樹勢はきわめて旺盛である。 ハゼノキは、ウルシ科ウルシ属の落葉小高木で、初夏には白い花を穂状に咲かせ、初冬の燃えるような紅葉の頃には茶色の果実をつけ、その果皮からはハゼ蝋(ろう)がしぼり取れる。 江戸時代、この地域一帯に、ハゼ蝋を取るために、ハゼノキが多数植えられた。その後、第二次世界大戦中及び戦後の食糧増産政策による耕作面積の確保、さらには大量生産の可能なパラフィンロウの開発による産業としてのハゼ蝋生産の衰退によって、多くのハゼノキが切り倒された。しかし、この木だけは傍らに宝暦八年(1758年)の銘のある地蔵尊が安置されていることもあって、今日まで保護されて生き残ったと考えられる。 萩藩では、天和元年(1681年)頃からハゼノキの植え付けを奨励、普及させ、米・紙・塩にハゼ蝋を特産物として加え、大阪市場において質量ともに名声を得た。このハゼノキはその生証人であり、歴史的にも価値の高いものである。 なお、地元の住民団体がこの木の保存管理を自主的に行っており、「たぶせハゼの実ろうそくまつり」を毎年開催するなど、ハゼ蝋についてのいろいろな研究や活用を通して、保存管理に向けた啓発活動へも取り組んでいる。 |