一般向け 説明 | これは、北浦地方(長門市・下関市)において、田植え終了後、「サバーサマ」と「サネモリサマ」という、騎馬武者姿の藁人形2体を、住民がリレー式に順次、居住地域外に送り出し、害虫を追い払う行事である。いわゆる虫送りと呼ばれる行事の一つである。 送り継ぎ開始の約一週間前に、飯山八幡宮社務所にて、当社の氏子区域内の藤中(ふんじゅう)地区の人々により、藁人形2体が作られる。送り継ぎ開始前々日までに、藁人形には、当社宮司により、和紙に書いた顔、和紙で作製された兜、羽織の代わりとされる和紙、木の刀が着けられ、騎馬武者姿に仕立てられる。なお、兜及び羽織の代わりの和紙には、毛利家の印である「一○」が記される。この後、送り継ぎ開始当日までの2日間、虫除けの神事が行われる。 送り継ぎ開始当日、その年の当番にあたる地区の氏子が神社に集まり、飯山八幡宮で虫除けの神事が行われる。この神事の前に、2体の藁人形の腰に、「オゴク」と呼ばれる白御飯が、和紙で作製された袋に入れ、取り付けられる。神事終了後、鉦(かね)、太鼓、幟(のぼり)、藁人形の順に列を組み、神社境内を出発する。途中、境川地区の2軒の家に立ち寄り、「オゴク」を渡す。この後、長門市日置上長崎(ながさこ)の送り継ぎ地点まで藁人形を運ぶ。 長門市日置上長崎以降は、各自治会や子供会などにより、数週間をかけ、各地域を送り継がれていき、下関市豊北町粟野に達する。粟野以降の順路は不定であるが、最終的には海に流されることが多い。 虫送りは、全国的に見られる行事であるが、このようにヒトガタを用いて行われるものは県内では数少なく、広域にわたり送り継がれる例は全国的にも稀であり、貴重な行事といえる。 |