一般向け 説明 | 江戸時代中期に長府毛利家が作成・所蔵していた手鑑の一つ。手鑑とは、代表的な古人の筆跡を集め、鑑賞用に仕立てたものを言う。 この手鑑は二帖からなり、どちらも表紙は蜀江(しょっこう)文様の中に草花の文様を織り込んだ錦が使用され、表紙四隅には蔓草文金具が使用されている。 第一帖には足利尊氏自筆書状を含む室町幕府歴代将軍や、大内家当主及び家臣の文書を中心とする98点が収められている。これらは大きく①長門一ノ宮住吉神社など長府藩域の社寺、②三沢氏など後に長府藩士となった家、③伊予国の河野氏や石見国の益田氏などその他の家、にそれぞれ伝来したものから構成される。 また、第二帖には連歌師の飯尾宗祇や医師の曲直瀬道三をはじめとする人々の筆と伝えられる古筆切や文書など127点が収められている。 これら全てに、江戸時代の古筆鑑定家の印顆「琴山」が捺印された極札が貼付されている。 防長両国に関係する文書や古筆切を多数収載していることから、山口県における中世史及び文化史上貴重であり、かつ、近世における長府毛利家の文化事業の一端を示すものとして重要である。 |