一般向け 説明 | 有近家住宅は、山口市東部の徳地八坂の集落中心部に所在し、防府市から津和野町にぬける街道に面して敷地を構える。有近家は、江戸時代から酒造業を営むとともに、明治時代には周辺の農地や山林を所有する当地方有数の地主となった。 敷地の中央に主屋、南辺に米蔵、漬物小屋、長屋の三棟が並んで建ち、正面南よりに正門がある。このほか、住宅の北隣の醸造場に仕込蔵及び留蔵の2棟が残る。 主屋は明治25年(1892)に街道に面して建てたものを大正13年(1924)に曳屋(ひきや)して現在地に移したと考え、現在の屋敷構えが整えられた。さらに、昭和8年(1933)には防府の毛利本邸にならったとみられる秀麗なつくりの表座敷が増築された。 仕込蔵及び留蔵は、醸造場の敷地最奥に東面して建つ長大な酒造蔵で、大正12年(1923)の建築である。 有近家住宅は、建物の構成や室内の意匠に近代における発展の過程が認められ、当地方における近代の大規模住宅の展開を示すものとして重要である。 |