ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
  1. ホーム>
  2. 指定文化財の検索(一覧から選ぶ)>
  3. 文化財の概要

文化財の概要コンテンツ

文化財名称みやもとつねいちかんけいしりょう
宮本常一関係資料
指定県指定
市町周防大島町区分有形文化財時代昭和
一般向け
説明
 宮本常一は、フィールドワークに徹した民俗学者である。明治40年(1907)に山口県大島郡家室西方村(現大島郡周防大島町)に生まれ、郵便局員、小学校教員を経て後、昭和9年(1934)に柳田國男の指導のもと、大阪民俗談話会を組織してその運営にあたった。昭和14年に渋沢敬三の主催するアチック・ミューゼアム(後の日本常民文化研究所)に入所し、全国各地の民俗調査を行った。 主な民俗調査に、昭和25年八学会(※1)連合対馬総合調査、昭和27年九学会(※2)連合能登総合調査、昭和34年九学会佐渡調査、昭和38年九学会連合下北総合調査等がある。
 本県に関わっては、昭和35年、36年に山口県見島綜合調査、昭和43年、44年に阿武川ダム水没地域民俗資料緊急調査、昭和46年に生見川ダム水没地域民俗資料調査、昭和47年、48年に小瀬川弥栄ダム水没地域民俗資料調査、昭和55年に屋代ダム水没地域民俗緊急調査等の重要な民俗調査を実施した。
 また、昭和46年から昭和56年に没するまで、県文化財保護審議会委員を務め、久賀町(現周防大島町)の「庄地のスイドウ」(昭和47年指定)、「久賀の諸職用具」(昭和49年指定、昭和53年に国重要有形民俗文化財に指定)、柳井市の「小田家の生活用具・商家資料・町家」(昭和54年指定)の県有形民俗文化財指定に関わるなど、文化財の保存に尽力した。
 宮本常一関係資料は、文書資料5,897点のうち、宮本が民俗調査の過程で作成した調査メモや関係者からの聞き書き、古文書類の筆写資料等の宮本の手による調査資料381点、民俗調査の過程で入手した地図や参考論文等の印刷物や刊行物等に宮本が独自に書込みを行った調査参考資料15点、民俗調査を踏まえてまとめられた成果物である原稿10点、宮本の詠んだ歌集及び詩集等のその他資料8点の、計414点からなる。
 414点のうち、調査資料と調査参考資料の計396点は、前掲の宮本の民俗学に対する考え方や向き合い方、すなわち、フィールドワークを旨とし、人生の大部分をフィールドワークに費やした民俗学者宮本常一を象徴する資料群である。今となっては再調査の適わないものであり、民俗学のみならず、歴史学の立場からも、オーラル・ヒストリーの資料として極めて貴重である。
 調査資料のうち、筆写資料・拓本は、宮本が現地で古文書などの歴史資料を書き写したもの及び金石文の拓本である。宮本は、民俗調査を進めるにあたり、「各地における文化の比較を行なう」ためには、「書きのこされた記録のたすけも借らなければならない」(『宮本常一著作集31』所収「集落・耕地」)と述べており、現地に伝え残された文字資料を重視し、それらの調査をも民俗調査の中で実施していたことを示すものである。またこれら筆写資料・拓本の中には、現在となっては原史料が確認できなくなっているものも含まれている可能性があり、歴史資料の観点からも貴重なものである。
 原稿10点は、民俗調査の成果をまとめた原稿である。これらは、『日本の離島』で昭和36年に第9回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、『辺境を歩いた人々』で昭和42年に第7回日本児童文学者協会賞の候補となった宮本の、作家としての側面を知るうえで貴重な原資料である。
 また、以上で示した民俗調査の実態を示す調査資料や調査参考資料、それらの成果となる原稿から、宮本の民俗学が柳田國男、渋沢敬三の薫陶を受けたものであり、「文字以外のものによる伝承を文字化」(『宮本常一著作集1』所収「民俗学の目的と方法」)し、資料としたこと、そしてその一連の流れを把握することができること、かつそれらが一つの資料群としてまとまって残されていることが極めて貴重である。
 また、宮本の詠んだ歌集や詩集8点は、「樹陰」が私家版として刊行されている他は、未定稿である。これらは、宮本の民俗学者ではない、別の一面を垣間見ることができる資料である。これらに宮本は、「畔人」・「恵薫」という名を用いて署名している。特に「歌集 我が行く道」は、昭和5年から6年にかけて編まれた詩集で、「教鞭余録」や「汽車の旅」、「病床吟」などと題を付しており、民俗調査への道を選択する直前、小学校教員時代の宮本の心境とその雰囲気を伝えており、民俗学者ではない宮本の別の側面を理解するうえで一助となる。
 調査資料、調査参考資料、原稿は、本県が輩出した民俗学者宮本常一の実施した民俗調査の実態とその過程を知るうえで、その他資料とした詩集や歌集は、宮本常一の民俗学者ではない別の側面を理解するうえで極めて貴重な原資料である。
※1:日本民族学会、日本民俗学会、日本人類学会、日本社会学会、日本言語学会、日本地理学会、日本宗教学会、日本考古学会
※2:八学会に日本心理学会が加わり九学会となる
小学生向け
説明
 周防大島町出身の宮本常一という民俗学者が集めた資料です。宮本常一は全国各地を調査し、73年の人生のうち、4,500日は調査の旅に出ていたというほど、現地に行き、自分の目で見、地域の人たちの話を聞くことを重視した調査を行いました。
 調査資料、調査の参考資料から、宮本常一がどのように民俗調査を行ったかが具体的にわかり、大変貴重です。
画像<宮本常一関係資料>縮小画像(オリジナル画像表示リンク)

ページトップへ