一般向け 説明 | 防府市阿弥陀寺の山門に安置されている。共にヒノキ材の寄木造り、玉眼(ぎょくがん)入りである。口を開いている阿形(あぎょう)の像高は270cm、口を閉じている吽形(うんぎょう)の像高は275cmである。最初は彩色があったであろうが、現在は素木の状態である。像は共に頭体部に内ぐりが施されているが、5cm~10cm厚に材を残し、堅牢な構造となっている。本像は他の金剛力士像とくらべると、いたずらに力感をみせる誇張に走らず、上体の構えも垂直で、手がつくる空間も不自然さがなく、五体のバランスは自然である。表情は忿怒のすさまじい形であるが、肋骨の下方にあらわされるこぶ状の筋肉などはまだ形式化していない。阿形像の裳裾は風にあおられてまくれあがるように膝にまといついているが、他の金剛力士像にはみられない手法で写実的である。作者は、阿弥陀寺開山の重源にゆかりの深い仏師である快慶一派の作かと思われる。制作年代は阿弥陀寺建立とほぼ同時代の13世紀はじめ鎌倉時代初期としてよいであろう。 |