一般向け 説明 | 上下39.4㎝、左右41.4㎝で、鼓面の径が37.6㎝という大きめの鋳銅製の鰐口。鼓面の中央に8枚ずつの蓮の花びらを重ね合わせた文様の撞座がありやや盛り上がっている。撞座の意匠や鋳造技術は確かなもので、防長地域における南北朝時代を代表する鰐口であると言える。 表面に刻まれた銘文から、この鰐口が、1351年(観応 2)、沙弥聖明(しゃみしょうみょう)が多くの信徒の願いを受けて、上野寺のために造ったものであることがわかる。上野寺は12坊を擁していたが、6坊を擁していた下野寺とともに「野寺」と総称され、その開基は平安時代にさかのぼると言われている。 現在、この鰐口を所蔵している福楽寺は、下野寺が擁していた福楽坊が改称されたものである。 |